公開日:2024年1月25日

群馬の森 朝鮮人追悼碑撤去をめぐり、アーティスト有志が反対の要望書を26日に提出する意向。賛同者も募る

群馬県立公園「群馬の森」(高崎市)にある朝鮮人追悼碑を県が代執行で撤去しようとしている問題に対し、アーティスト有志が反対運動を行っている

群馬の森に建つ「記憶 反省 そして友好」の碑(「記憶 反省 そして友好」の追悼碑を建てる会) 出典:Wikimedia Commons

朝鮮人追悼碑撤去に反対の声

群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」にある朝鮮人追悼碑をめぐり、「朝鮮人追悼碑存続をのぞむアーティスト有志」が群馬県に対する要望書「群馬の森 朝鮮人追悼碑「記憶 反省そして友好」を残して下さい」を作成、公開した。文化芸術に関わる人をはじめ、あらゆる人の賛同を募っている。 フォームの受付締め切りは1月26日0時頃。

追悼碑は市民団体「『記憶 反省 そして友好』の追悼碑を守る会」が所有する。戦時中に軍需工場などに労務動員されて犠牲になった朝鮮人を悼む目的で、2004年に完成。県議会も全会一致で賛同し、県が用地を提供した。許可期間は10年で、「政治的な行事をしない」との条件がついていたが、14年に県は設置の更新を認めず不許可にする処分を出した。県側は12年の式典のあいさつで「強制連行」との発言があったことについて、「政治的な行事をしない」との条件に違反したとの見解。守る会は設置不許可を違法だとして提訴。22年に「不許可は適法」とする高裁判決が確定している。

守る会は、県から1月29日~2月11日に碑を代執行で撤去するとの通知を受けたと明らかにしており、同会が撤去命令の取り消しを求めて起こした訴訟の第1回口頭弁論が2月7日に予定されていることから、それに先んじての代執行に抗議している。

若手アーティストの登竜門「群馬青年ビエンナーレ」を開催する美術館も同地に

「朝鮮人追悼碑存続をのぞむアーティスト有志」は、群馬の森にゆかりのあるアーティストたちで、追悼碑へ親しみを持つと同時に、その歴史的・文化的な重要性について発信し、関心を持ってきたという。

今回、群馬の森朝鮮人追悼碑の行政代執行中止、使用許可の更新を求めるとともに、2017年に群馬県立近代美術館で開催された企画展「群馬の美術2017」に出品された白川昌生の作品《群馬県朝鮮人強制連行追悼碑》の撤去に関して、政治的介入が行われたことに抗議する。また碑の前での「強制連行」という発言について、知事が「政治的発言」と判断し、守る会に対して報告を求めたことも、「表現の自由」に反するとして抗議の声をあげている。

2024年1月26日午後1時には、アーティスト有志による要望書と、その賛同者の署名を県に提出する。提出者として、アーティスト・飯山由貴、滝あさこ、白川昌生が参加予定だという。

追悼碑がある群馬の森には、若手作家を対象とした公募展「群馬青年ビエンナーレ」を開催する群馬県立近代美術館も位置している。

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