今年6月16日付けの国土交通省からのリリースで、横浜・みなとみらい地区に世界初のゲームアートミュージアムが整備されると報じられた。これは「みなとみらい21中央地区52街区開発事業計画」の一部として認定されたもので、同地区においてイノベーションプラットフォームやゲームアートミュージアムを含む複合施設の整備を通じ、新たな価値を創出する拠点を形成する構想。
次いで同月25日に横浜市からリリースされた記者発表資料によると、地下鉄みなとみらい駅と横浜駅東口の中間地点に竣工される地上28階、地下1階(延床面積 110,142平方m、高さ 171.35m)のビル内に、オフィス、ゲームアートミュージアム、イノベーションプラットフォーム、商業、地域冷暖房プラントなどが新設されるとのこと。ミュージアムは地上1〜2階に設置され、同街区を象徴するスペースになることが予想される。建物は2026年6月竣工予定。オープン日は未公表だ。
事業予定者は大和ハウス工業株式会社(大阪市北区梅田三丁目3番5号)と株式会社光優(横浜市港北区日吉二丁目11番25号)の2社。 ゲームアートミュージアムと地域冷暖房プラントを区分所有する後者の光優は、株式会社コーエーテクモホールディングスの親会社である株式会社光優ホールディングスのグループ企業。光優とコーエーテクモホールディングスのあいだに事業上の関係はないものの、コーエーテクモといえば「三國無双」シリーズ、「信長の野望」シリーズ、「零」シリーズなど、数多くの人気IPを所有するゲームメーカー。今後のゲームアートミュージアムの企画や構想にも関わる可能性がある。
Tokyo Art Beatの質問に対して、コーエーテクモホールディングスの担当者は
「ゲームアート」とは、メインビジュアル、映像、キャラクターデザイン、インタラクティブデザイン、サウンドなど、様々な要素を含む複合芸術ととらえている。
最先端のCG技術や体験型のエンタテインメントにしてきたいと考え、世界中のゲームファンが集う場所にしたい。みなとみらいに安らぎと活力を満たし、人々の心を豊かにする空間にしたい。
と回答。開館に向けて、ゲーム・アート、ネット・アート、メディア・アートなどの研究者、批評家、キュレーターらが企画構想に関わっているかについては、担当者からの回答は得られなかった。
2012年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)が『パックマン』『テトリス』などのビデオゲームの名作を収蔵することを発表し、日本国内でもNTTインターコミュニケーション・センター [ICC]で2018年にゲームアートを紹介する「イン・ア・ゲームスケープ:ヴィデオ・ゲームの風景、リアリティ、物語、自我」が開催されるなど、ゲームとアートの関わりは強まりつつある。今回発表されたゲームアートミュージアム構想が、今後どのような展開を見せていくか、期待して待ちたい。