東京・広尾の閑静な住宅地にGallery Lがオープンした。Gallery Lは、実業家の粟⽥貴也⽒が書画家・婁正綱(ろう・せいこう)の作品を収集した「AWATA COLLECTION」を展⽰するプライベート・ギャラリー。書からアクリル絵画に及ぶ婁正綱の画業の全貌と「いま」に触れることができる。
中国北部、ロシアと国境を接する⿊⻯江省に生まれ、3歳から書画を学び、12歳で「智⼒超常児童」として英才教育を受け、中国書画界の奇跡と呼ばれた婁正綱。20歳で来⽇し、27歳に渡⽶するなど、国際芸術の舞台で活躍してきた。近年は伊⾖にアトリエを構え、キャンバスを⽀持体にアクリル絵具による抽象絵画「Untitled」シリーズを発表。2023年にアーティゾン美術館「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ」で展⽰されるなど、書や絵画の枠を超えた独⾃の新しい絵画芸術の世界観に注⽬が⾼まっている。
企業経営者として歩む道筋の折に触れ、芸術作品から「⼒」を受け取ってきたアートコレクターの粟⽥貴也。2022年の出会いから、伊⾖のアトリエで婁正綱とともに過ごし、語らい、作品と作品の⽣まれる環境に存分に浸った時間は、コレクターとなる運命を決定するものとなった。
Gallery Lは、婁正綱の作品を鑑賞することを⽬的にリノベーションが施された、テクスチャーのある吹付仕上げの⼤きな壁に⾃然光が差し込む開放感のある邸宅ギャラリー。床のコンクリートを無限の紙に⾒⽴てて、ただ⼀⼼に筆を運んだ幼き⽇の婁正綱の姿を象る中庭の彫刻は、婁正綱の著書「こころ」でエピソードに触れ、⼼を動かされた粟⽥⽒のアイデアから⽣まれたもの。
「美術館と家では、作品の⾒え⽅が違います。ある⽇は伊⾖のアトリエから望む⼤海原のような雄⼤さを感じる作品が、別の⽇には⿊⻯江省の吹雪の夜を描いているように感じられるのです」(粟⽥貴也)
孤⾼の書画家として芸術に邁進した婁の作品に触れることのできる機会やスペースはこれまで限られたものであった。美術館ではなく、コマーシャルギャラリーでもない、訪問した親しい友⼈の家で靴を脱ぐようなリラックスした親密な空間で、婁の作品をじっくりと味わいたい。
Gallery L
場所:東京都渋⾕区広尾(詳細住所は非公開)
完全予約制
。問い合わせは下記まで。
LZG Studio 菊池武恭
Mail:kikuchi@lzgstudio.com
ウェブサイト:https://lzgstudio.com