公開日:2022年4月27日

「ボテロ展 ふくよかな魔法」が東京・名古屋・京都で開催! ふくよかなモナリザも来日。コロンビアの巨匠ボテロの魅力とは?

「ボテロ展 ふくよかな魔法」はBunkamura ザ・ミュージアムで4月29日から開催。ドキュメンタリー映画『フェルナンド・ボテロ 豊満な人生』も4月29日よりBunkamura ル・シネマほか全国ロードショー。

左から、フェルナンド・ボテロ《踊る人たち》(2002)、《モナ・リザの横顔》(2020)、《赤の花》(3 点組のうちの1点、2006) 

なんでもふっくらさせる巨匠ボテロ、26年ぶりの日本個展

今年90歳となるコロンビア出身の画家・彫刻家、フェルナンド・ボテロ(1932〜)。その26年ぶりの日本での個展「ボテロ展 ふくよかな魔法」Bunkamura ザ・ミュージアムで4月29日から開催される。会期は7月3日まで。その後巡回し、名古屋市美術館で7月16〜9月25日、京都市京セラ美術館で10月8日〜12月11日に開催される。

フェルナンド・ボテロ 守護天使 2015

ボテロといえば、人間も動物も静物もみんなふっくら、ぷっくりとふくらんだ独特のスタイルだ。

1950年代後半から欧米で注目されていたボテロだが、一躍注目が集まったのは1963年、ニューヨークのメトロポリタン美術館でのレオナルド・ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》の展示にあわせ、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のエントランス・ホールにボテロの《12歳のモナ・リザ》(※本展には出展なし)が展示されたとき。

フェルナンド・ボテロ コロンビアの聖母 1992
フェルナンド・ボテロ オレンジ 2008

以来、コロンビアの風土や、官能性、ユーモア、アイロニーといった複雑な意味合いが含まれた、たっぷりとしたボリュームの人物像や具象画が、世界中で高く評価されてきた。1970年代からは彫刻にも本格的に取り組んでいる。

生誕90年の記念すべき年に開催される本展は、作家本人の監修のもと、初期から近年までの油彩ならびに水彩・素描作品など全70点で構成される。

フェルナンド・ボテロ 泣く女 1949
フェルナンド・ボテロ ヴァリェカスの少年(ベラスケスにならって) 1959

2020年制作の《モナ・リザの横顔》は、本展が世界初公開。このほかにもボテロは、ベラスケス、ピエロ・デラ・フランチェスカ、ヤン・ ファン・エイク、アングルなどによる数々の「名画」をふっくらさせてオマージュしてきた。1952年に初めて欧州へ渡航して以来、とくにイタリアで多くを学んだというボテロ。「芸術とは、同じことであっても、異なる方法で表す可能性である」(プレスリリースより)との言葉に象徴されるように、作家は過去の巨匠たちの名作を、独自のスタイルで異なるものへと変容させる。

フェルナンド・ボテロ モナ・リザの横顔 2020
フェルナンド・ボテロ アルノルフィーニ夫妻(ファン・エイクにならって) 2006
フェルナンド・ボテロ マリー・アントワネット(ヴィジェ・ルブランにならって) 2005

ほかにも自身のルーツであるラテンアメリカの世界を描いたものや、宗教への関心、サーカスを主題にした作品など、見どころ満載だ。

フェルナンド・ボテロ 象 2007
フェルナンド・ボテロ バルコニーから落ちる女 1994
フェルナンド・ボテロ 通り 2000
フェルナンド・ボテロ 踊る人たち 2002
フェルナンド・ボテロ

作家像に迫るドキュメンタリーも同時公開

また、ボテロに迫ったドキュメンタリー映画『フェルナンド・ボテロ 豊満な人生』(原題『BOTERO』)も4月29日より公開。Bunkamura ル・シネマほか全国でロードショー予定。

本作では作家の作品制作の裏側や波乱万丈の人生、家族との関係が描き出されるほか、自らの作品を寄付して作られたボテロ美術館の内部、そしてイラク戦争におけるアブグレイブ収容所での米兵による捕虜虐待を描いた作品群も紹介されるという。

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