永青文庫が2025年度の展覧会スケジュールを発表した。
なかでも注目は、秋季展 「重要文化財「黒き猫」修理完成記念 永青文庫 近代日本画の粋―あの猫が帰って来る!―(仮)」だ。会期は10月4日~11月30日。
重要文化財《黒き猫》は、36歳で夭折した画家・菱田春草が晩年に残した代表作のひとつ。同館でも不動の人気を誇る本作は、クラウドファンディングでの支援と、国・東京都・文京区からの補助により、初めて本格的修理が行われた。
本展はその修理完成を記念するもので、《黒き猫》や《落葉》(重要文化財)など同館が所蔵する春草作品全4点を期間限定公開。
さらに横山大観、下村観山、鏑木清方といった近代日本を代表する画家たちの優品を一堂に展覧する。また中国の禅僧・清拙正澄(せいせつしょうちょう)と楚石梵琦(そせきぼんき)による墨蹟2点(いずれも重要文化財)を修理後初公開する。
このほかにも2025年度の展覧会は多彩なラインアップだ。
初夏展は「肥後熊本の絶景―「領内名勝図巻」を旅する―(仮)」。会期は4月26日~6月22日。熊本藩のお抱え絵師・矢野良勝(やのよしかつ、1760~1821)と衛藤良行(えとうよしゆき、1761~1823)が、おもに熊本領内の滝や名所、川沿いの風景などの絶景を全15巻にわたって描いた、真景図の先駆的作例とされる画巻「領内名勝図巻(りょうないめいしょうずかん)」を紹介する。
夏季展は「文房四宝と喫煙具の美(仮)」。会期は7月5日~8月31日。 永青文庫の設立者・細川護立(1883~1970)が愛好した中国の文房具について調査を行い、改めてその魅力を紹介する。
早春展は「石からうまれた仏たち(仮)」。会期は2026年1月17日~3月29日。2019年1月~4月に開催され好評を博した「石からうまれた仏たち」展が、一部内容を変更して帰ってくる。
絵画・工芸・彫刻などバラエティに富んだ、それぞれの展覧会を楽しみに待ちたい。