公開日:2024年6月20日

9回目の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」が7月開催。41の国と地域から275組の作家が参加

会期は7月13日~11月10日。「歓待する美術」をテーマに、イリヤ・カバコフの創作の軌跡をたどる展示や新作、アントニー・ゴームリー、マ・ヤンソン/MADアーキテクツなど、41の国と地域から275組の作家が参加

「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」Photo by Nogawa Kasane

「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」が開催される。会期は7月13日~11月10日の全87日間開催する。2000年に初開催されてから、今回で9回目の開催。6月19日に都内で企画発表会が行われ、参加作家や作品の新展開を含む概要が発表された。

大地の芸術祭は「歓待する美術」へ

「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」東京企画発表会 会場風景 撮影:編集部

今回新たに「歓待する美術」という言葉がポスターに掲げられている。この言葉について、北川フラム総合ディレクターは、プログラム発表会の冒頭で以下のように語った。

「大地の芸術祭では、地域資源にアクセスして、色んな人との交渉や壁を通して、作品を作り運営する。そのなかで、作品も大切だけれども、作品を作り、皆さんに見てもらう過程、つまりプロセスが色々な縁を開くことがわかってきました。

最初は、大地の芸術祭は、自然との関わりの中で美術が生まれてきたというテーマを掲げて、その後来ていただく地域の人や来た人が楽しくなるという意味で『観光』というテーマを掲げてきました。

今年は、様々なことがある時代の中で、美術をひとつのきっかけに地域の人も、来てくださった人も元気になる。そのことを『歓待する美術』と呼びたい。この言葉は、小説家の小野正嗣さんが、司会をつとめてきたNHKの新日曜美術館の終わりに『作品を準備する人、見てくださる人がいて、美術が生きてきたんだということを学んだ』と言われていて、その言葉を使わせていただこうと急遽ポスターに入れました。」

新展開の作品・新作など

「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」の作品数は311点。うち新作・新展開の作品は85点41の国と地域から275組の作家が参加する。国内最大規模の芸術祭の見どころをダイジェストでお届けする。

越後妻有里山現代美術館 MonETにおいて「棚田」など大地の芸術祭にも数多くの作品を残し、2023年に没したイリヤ・カバコフの創作の軌跡をたどる展示「知られざるカバコフ 生きのびるためのアート」が開催される。今回はドローイング約60点を公開。世界初公開となる1950年代の卒業制作も含まれる。

「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」東京企画発表会 会場風景 撮影:編集部
「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」東京企画発表会 会場風景 撮影:編集部

ウクライナの現代美術シーンを担う ニキータ・カダンが第9回展に参加。子どもが遊ぶ公園をイメージした新作《別の場所から来た物》や、 MonETで行われる個展《影・旗・衛星・通路》を発表する。7/12~7/21には開幕前日から10日ほど、ウクライナのアート・フィルムやアニメの上映、絵本の読み聞かせ、食や文化をたのしめる、ウクライナウィークを開催。また、MonETにおいては、ロシアのターニャ・バダニナ が新作《白い服 未来の思い出》を発表する。

「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」東京企画発表会 会場風景 撮影:編集部

イギリスの彫刻家のアントニー・ゴームリーは、笹山高麗神社社叢において、最初に人が石に傷跡をつけた、足跡をつけた出来事を連想させる新作《MAN ROCK Ⅴ》を展開。

「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」東京企画発表会 会場風景 撮影:編集部

バチカン宮殿にあるラファエロ作の名画《アテネの学堂》を模して、赤倉集落に暮らす人たちを描いた大型絵画を制作したナウィン・ラワンチャイクン+ナウィンプロダクション。今回インスタレーションと共にアップデートされる。

マ・ヤンソン _ MADアーキテクツ 野辺の泡(イメージ画像)

「大地の芸術祭 2018」において、清津峡渓谷トンネル《Tunnel of Light》を制作した、マ・ヤンソン/MADアーキテクツは、伝統的な民家から噴き出す巨大な「泡」をイメージした新作《野辺の泡》を発表。来場者は半透明なフィルムで覆われた泡の内部に入ることができる。

「アケヤマ –秋山郷立大赤沢小学校–」[監修]深澤孝史[会場構成]一般社団法人コロガロウ_佐藤研吾(イメージ画像)

また、越 後妻有里山現代美術館 MonETの池・回廊と明石の湯 の2施設にまたがる体験型の企画展「モネ船長と87日間の四角い冒険」、子供が五感を使って全身で遊ぶことができる「奴奈川キャンパス 子ども五感体験美術館」、ナカゴグリーンパークで行われる「Nakago Wonderland–どうぶつ達の息吹と再生」深澤孝史監修、一般社団法人コロガロウ/佐藤研吾が会場構成を担当した「アケヤマ -秋山郷立大赤沢小学校-」など、見どころが沢山。

elparo 不思議な石

そのほか、増田啓介+増田良子磯辺行久elparo岡本光博村山悟郎竹内公太雨宮庸介川俣正五月女かおる中崎透永沢碧衣日比野克彦力五山(加藤力・渡辺五大・山崎真一)など、多くの作家が新作を発表する。

会期中には、パフォーマンス作品やイベントも展開。イリヤ&エミリア・カバコフの《棚田》に感銘を受けた音楽家の巻上公一が奏でる「カバコフの夢の続き」鈴木富美恵、井口桂子による前衛舞踊デュオが新潟の歌とコラボレーションするパフォーマンス「ゾメキ」創作和太鼓集団・鬼太鼓座による「祈り INORI 〜 Duology 魄地」など。

9月7日開催 大地の運動会 photo by Nakamura Osamu

また、注目イベントとして、大会実行委員長に400mハードル日本記録保持者の為末大を迎えて、岡淳+越後妻有かぷかぷ楽団EAT&ART TARO鞍掛純一伊藤千枝子が大会を盛り上げる「大地の運動会」も開催される。

「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」は、広大なエリアで展開されるため、オフィシャルツアーも用意されている。6つのエリアをめぐるダイジェスト「エチゴツマリコース」や、テーマ型のツアー、パフォーマンスや運動会などのイベントのツアー、北川総合ディレクターが案内するツアーなど。詳細は、公式ウェブサイトをチェックしてほしい。

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