公開日:2009年11月2日

MOLESKINE(モレスキン)の世界巡回展「Detour Tokyo」

ページをめくりながら、作家の創造の断片やアイデアなどクリエイティブプロセスに触れる

200年以上の歴史をもつ伝説的ノートブック、MOLESKINE(モレスキン)と、ミラノを拠点に世界の貧困地域での教育普及活動を行っている非営利団体lettera27(レッテラ・ヴェンティセッテ)による文化と創造の発展を目的とした世界巡回展「Detour Tokyo」が、表参道のMoMA Design Storeにて開催されています。

作品に実際に触れながら見ることができる(除:一部作品)
作品に実際に触れながら見ることができる(除:一部作品)

これまで、ロンドン(2006)、ニューヨーク(2007)、パリ(2008春)、ベルリン(2008秋)、イスタンブール(2009春)で開催されたDetour(デトゥア)展は、世界を舞台に活躍しているアーティスト・建築家・映画監督・デザイナー・イラストレーター・文筆家、音楽家が参加している文化性や創造性をテーマとしたプロジェクト。 MOLESKINE(モレスキン)をこよなく愛した紀行作家ブルース・チャトウィン、またシティーノートブックシリーズが好評な点など、モレスキンと「旅」というキーワードが切り離せないという影響もあり、この展示会は自然と世界を巡回することになったといいます。一部作品を写真でご紹介いたします。

最新プロジェクトの建築写真やさまざまなメモが書き込まれた構想プランから、建築スキームや創作過程のいったんを読み取ることができる
最新プロジェクトの建築写真やさまざまなメモが書き込まれた構想プランから、建築スキームや創作過程のいったんを読み取ることができる
隈 研吾(Kengo Kuma 1954- 建築家)

ページを一枚一枚カットして小さな風景を立体的に表わすことで、モノづくりの過程において2次元と3次元の狭間で機能するスケッチの存在を表現
ページを一枚一枚カットして小さな風景を立体的に表わすことで、モノづくりの過程において2次元と3次元の狭間で機能するスケッチの存在を表現
佐藤 オオキ(Oki Sato 1977- デザイナー)

スケッチが添えられたメモ類は、シリーズの原型となるコンセプトやプロダクトデザインの最終形へとつながっていく草案の段階を示している
スケッチが添えられたメモ類は、シリーズの原型となるコンセプトやプロダクトデザインの最終形へとつながっていく草案の段階を示している
アルド・シビック(Aldo Cibic 1955- 建築家)

さまざまな形や3次元の小さなマルチプルがついた、ひと目を惹くカットワークの作品となっており、本を彫刻に様変わりさせている
さまざまな形や3次元の小さなマルチプルがついた、ひと目を惹くカットワークの作品となっており、本を彫刻に様変わりさせている
須藤 玲子(Reiko Sudo 1953- テキスタイルデザイナー)

表紙にウーパールーパーを模した立体作品が施され、中めんのページでは彼が見ている色とりどりの夢がストーリー仕立てで展開されている
表紙にウーパールーパーを模した立体作品が施され、中めんのページでは彼が見ている色とりどりの夢がストーリー仕立てで展開されている
松井えり菜(Erina Matsui 1984- アーティスト)

エコロジカルなアプローチと独自の視点を併せ持つ一冊を作り上げた。ページに貼られた塩によって刻々とその姿を変えていくノートブックは、それ自体が観察日記
エコロジカルなアプローチと独自の視点を併せ持つ一冊を作り上げた。ページに貼られた塩によって刻々とその姿を変えていくノートブックは、それ自体が観察日記
ジュリア・ローマン(Julia Lohmann 1977- デザイナー)

シンプルな「No」という言葉がつづられたページの上に、その否定的な世界とは対照的な新井自らが日本語で書いた言葉が横糸と縦糸が織られるように重なる
シンプルな「No」という言葉がつづられたページの上に、その否定的な世界とは対照的な新井自らが日本語で書いた言葉が横糸と縦糸が織られるように重なる
新井 惇一(Junichi Arai 1932- テキスタイルデザイナー)

形態の研究3次元のピースが描かれており、遊びながらも驚きに満ちた数学の世界に浸ることができる。
形態の研究3次元のピースが描かれており、遊びながらも驚きに満ちた数学の世界に浸ることができる。
吉本 直貴(Naoki Yoshimoto 1940- 造形作家)

ジャパニーズ・ノートブックを用いて、イタリアの童話「ピノッキオ」の嘘をつくと鼻が伸びるというよく知られているキャラクターのドローイングを、最後のページまで描いている
ジャパニーズ・ノートブックを用いて、イタリアの童話「ピノッキオ」の嘘をつくと鼻が伸びるというよく知られているキャラクターのドローイングを、最後のページまで描いている
ジュリオ・イアケッティ(Giulio Iacchetti 1966- デザイナー)

創作のメモとスケッチが記録されている
創作のメモとスケッチが記録されている
西沢 立衛(Ryue Nishizawa 1966- デザイナー)

作曲やメモの記録が綴られている。最後にノートのカバーから興味深いものが出てくる
作曲やメモの記録が綴られている。最後にノートのカバーから興味深いものが出てくる
ジョヴァンニ・ソッリマ(Giovanni Sollima 1962- 音楽家)

日々、目にしている日常的な光景を、柔らかく色彩豊かな水彩のスケッチでつづっている
日々、目にしている日常的な光景を、柔らかく色彩豊かな水彩のスケッチでつづっている
森 俊子(Toshiko Mori 建築家)

参加している作家一覧
青木淳、新井惇一、伊東豊雄、伊藤節&伊藤志信、押井守、川崎和男、河瀬直美、喜多俊之、キタイシンイチロウ、隈研吾、佐藤オオキ、須藤玲子、妹島和世、西沢立衛、原研哉、服部一成、深澤直人、ホンマタカシ、松井えり菜、宮本英治、三宅信太郎、森俊子、横尾忠則、吉本直貴、ジョセッペ アマート、ロンアラッド、ジュリオ イアケッティ、ジョルジオ ヴィニア、マッシモ ヴィターリ、ハンス ウルリッヒ オブリスト、フェルナンド&ウンベルトカンパーナ、ロベルト カラッチョーロ & ルイジ ガッロ、マルティ ギセ、エミオ グレゴ & ピーターショルテン、スティーブン グアルナッチア、グエナエル ニコラ、カテリーナ ネッリ、ローレン ゲルベー、カリム サイド、アルドシビック、ジョヴァンニ ソッリマ、ヨープ ファンリースハウト、モレノ フェラーリ、イヴ ベアール、トード ボンチェ、キューンマルヴェッツィ、アントニオ マラス、ロス ラブグローブ、カリム ラシッド、ジュリア ローマン

MOLESKINEの世界巡回展「Detour 」 表参道MoMA Design Store

また、期間中は東京都内5会場に設置される応募ボックスに、自身の創作したモレスキンを投函する企画、創作を愛する人なら誰でも参加できる「myDetour(マイ・デトゥア)」展も行われています。最優秀作品に選ばれた作者には、2010年に世界のいずれかの都市で開催されるモレスキン・イベントのオープニングレセプションに招待されるというもの。興味のある方は参加してみてはいかがでしょうか?

Tomoco Makino

Tomoco Makino

東京下町生まれ、下町育ち。デザイン事務所、雑誌編集社、IT系企業などを経て08年よりネットを中心にフリーランサーとして活動中。日常に巣喰う、ふとした「美しさ」や「デザイン」に心惹かれる今日このごろ。ブログ(<a href="http://d.hatena.ne.jp/mo_tomoco_mo/">もともこも鳴き笑い</a>)では失いがちな記憶の記録として由無きことを書き散らかしています。