公開日:2013年6月11日

「デザインあ展」

わたしたちの身の回りにあるさまざまな「あ!」を体感する展覧会

東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで「デザインあ展」が開催中だ。本展はNHK Eテレで放送中の教育番組「デザインあ」を展覧会というかたちに発展させた企画展である。日々の生活や行動をするうえで欠かせない洞察力や創造力、無意識的に物事の適性を判断する身体能力を「デザインマインド」とし、これを本展覧会のテーマとしている。

《「あ」れ?》 佐藤卓デザイン事務所
《「あ」れ?》 佐藤卓デザイン事務所
展覧会タイトルのなかに入ってみよう!というコンセプトの遊べる作品。中村勇吾氏、小山田圭吾氏と。

会場の最も広い展示空間は「お寿司」「本」「器」「お金」「学校」の5つのテーマでデザインを観察する仕組みになっており、それぞれのテーマが、「解散」「多様性」「掘り下げ」と順につづき、いちばん奥のスペースでは子どもたちが自由に遊べる構成になっている。そのほか、番組の「うた」のコーナーが部屋中に広がった《モノ・オトと映像の部屋》や、映像をみながら様々な包み方を学べる《ふろしき》など、映像・音楽・物・ウェブサイト・テレビ番組をつなぎ、デザインを「体感」することを意識した展覧会だ。

《モノ・オトと映像の部屋》 tha ltd. + 小山田圭吾(コーネリアス)
《モノ・オトと映像の部屋》 tha ltd. + 小山田圭吾(コーネリアス)
番組の「うた」のコーナーを再現したインスタレーション

一般公開に先駆け行われたプレスプレビューには、展覧会のディレクションを務めるグラフィックデザイナーであり、NHK Eテレ「デザインあ」において総合指導を担当する佐藤卓、インターフェースデザイナー・中村勇吾、ミュージシャンの小山田圭吾らをはじめ、本展出展作家らが参加し、それぞれの出展作品を紹介した。

中村勇吾(左)、小山田圭吾(中央)、佐藤卓(右)

佐藤卓は「デザインはかっこいい、特別なものだけがデザインで、そうでないものはデザインではないというような扱いをされることが多く、誤解をされていることが多々ある。意識をしなくても私たちはいろんなデザインを普段の生活で接しており、日常の中にはいろいろな人の工夫やデザインの試行錯誤がある。そういうことに子どもの頃に気づいてもらい、デザインはおもしろいと興味を持ってもらえるようなきっかけになってほしいという思いで番組をつくりました。子どもたちが将来どんな仕事についても、『デザインマインド』があると仕事や生活が豊かになるのではないかと思います。展覧会ではさまざまな感覚を総動員して接してもらえるような構成にしました。」と冒頭のあいさつでコメント。
「やたらと音がうるさかったり、にぎやかな場所で子どもが思いきり楽しめる遊園地のような場所をイメージしました。展示と遊び場の中間のような感じで楽しんでもらいたい。」と中村勇吾が続けた。
さらに小山田圭吾は「自分たちが楽しみながらやっているので、皆さんにも楽しんでもらいたい。」と語った。

《ちょうどいい》 佐藤卓デザイン事務所
《ちょうどいい》 佐藤卓デザイン事務所
世の中には「ちょうどいいもの」が隠れている。「ちょうどよくないもの」とくらべて「ちょうどいい」ものを見つける、というコンセプトの作品。

《ごちゃまぜ文庫》 Perfektron
《ごちゃまぜ文庫》 Perfektron
上と下のパーツを自由に組み変えて、新しい題名の本をつくることができる、あそべるコーナー。

《しょうゆをさす》 佐藤卓デザイン事務所
《しょうゆをさす》 佐藤卓デザイン事務所
普段の生活のなかでは見えていないものを想像してみることをコンセプトに、しょうゆさしで醤油をさす時の器と醤油の関係を観察してみるもの。

《学校の解散》 佐藤卓デザイン事務所
《学校の解散》 佐藤卓デザイン事務所
港区立赤坂小学校6年生が実際に使っているものを分解して展示されている。

今回の展覧会では、館内での撮影が可能だ。ハッシュタグ#design_ahをつけてTwitterやInstagramへ投稿すると展覧会特設サイトにて写真が掲載される。また、《デッサンあ》という作品は実際にデッサンを体験する参加型の作品であり、描いたデッサンは会場に大きく映し出される。これは、特設サイトからも閲覧が可能なほか、デッサンの投稿も可能となっている。 「デザインあ展」スペシャルサイト

《デッサンあ》tha ltd.
《デッサンあ》tha ltd.

期間中はさまざまな関連プログラムも用意されている。子どもはもちろん、大人も十分に楽しめる内容となっている。さぁ、あなたの「あ!」を見つけに行ってみよう!

《「あ」の広場》 plaplax
《「あ」の広場》 plaplax
さまざまな花の種が植えられているため、展覧会会期中に少しずつ成長し、「あ」がどんなふうに変化していくのか観察できる。

Miki Takagi

Miki Takagi

横浜生まれの横浜育ち。アートとは無縁の人生を送ってきたが、とある企業のイベントPRに携わった際、現代美術と運命的な出会いを果たす。すぐれた作品に出会うとき、眠っていた感覚や忘れていた感覚が呼び起こされる、あるいは今までに経験したことのない感覚に襲われ全身の毛孔が開くような、あの感じが好き。趣味は路地裏さんぽ。