遊んで食べて寝てるだけだよ なんで悪いの?
生まれた時からずーっと 将来もコジコジはコジコジだよ
大人もドキッとするような言葉やナンセンスなギャグが人気のマンガ『コジコジ』。PLAY! MUSEUMにて、同作をテーマにした「コジコジ万博」が開催されている。会期は7月10日まで。原画130点が公開されるだけにとどまらず、タイトルの通りパビリオン的な賑わいを見せる展覧会だ。
「けいじ板」に「コジコジ誕生」のポスターが貼られた展示の入り口には、お手製感満載の鳥居が。横には、原作者・さくらももこが1991年に初めて描いたコジコジの原画が展示されている。
胸ほどの高さの鳥居を潜ると、「ギャグ50連発」がお出迎え。コジコジがトンチンカンなことを言うマンガのシーンが散りばめられた空間だ。奥に控えるモニターでは、コジコジのギャグと変顔が炸裂している。ギャグと一口に言っても、その種類は様々。ボケやツッコミはもちろん(大抵コジコジがボケて、次郎がツッコんでいるのだが)、言い間違いや聞き間違い、ポエムや歌詞まで、コジコジの多彩さ(?)が光る。
続く「コジコジと仲間たち」ではコジコジたちが通う学校の3年インコ組(セキセイ)のキャラクターが勢揃い。個性豊かなインコ組の騒がしい日常が、効果文字と教室の机を模した配置で表現されている。
「コジコジと次郎の不毛な会話」では、コマ撮りアニメーションが上映。アニメーションを手がけたdwarfの木梨綾乃は、コジコジと次郎の会話について「ずっと噛み合っていない」ことに面白さがあると感じ「永遠に続くような」ものを目指したという。
コジコジの底抜けな明るさのせいで忘れがちだが、メルヘンの国のキャラクターたちは私たちと同じように様々な悩みを抱えており、それが描き出されることも『コジコジ』の特色のひとつ。白いネットで作られた「モヤモヤトンネル」では、キャラクターたちが悩み、葛藤するマンガ内のシーンが上映される。
トンネルを抜けるとコジコジの世界の住人たちの複雑な胸の内を表したような「エモーショナルフレンズヒーリングゾーン」へ。暗室のなか、幻想的な音楽が広がる。
続く「原画で読む名場面8」では貴重な原画が多数公開。作中の名場面をカラー原画で読むことができる。
「コジコジとまるちゃんとさくらさん」では、コジコジと『ちびまる子ちゃん』のまるちゃんが一緒に描かれた作品や、マンガ連載以前のコジコジのイラストが公開されている。
そのほか、「物知りじいさんの湖」では物知りじいさんのバボットが荒ぶりながら現れるコーナーや、電気グルーヴが手がけたテレビアニメのエンディングソングが流れるダンススペース「ディスコ☆ポケット カウボーイ」も。
強風の力を借りて現れる物知りじいさんは明らかに立ち姿が不安定なのだが、かえってその歪な動きが愛くるしい。展示デザインを手がけたCEKAIの福田哲平は「アナログさにこだわった。(頭が)相当無理な重さだったが、職人さんたちが限界を追求してくれた」と語った。
ショップはメルヘンの国の商店街へ大変身。「やかん君フィギュア」や、コジコジと次郎のTシャツなど魅力的なアイテムが揃う。
原画をずらっと配しただけのものなど、近年マンガ作品の展示は画一化しがちだ。PLAY! プロデューサーの草刈大介はそんな現状に言及しつつ、本展の構成について以下のようにコメントしている。「マンガに描かれていることをどう更新するのかが展覧会の使命。ひとつの美意識で統一するよりも、タイトルの通りパビリオン的なディレクションを心掛けた」。
草刈らと協働するうえで「『バカメルヘン』をやろうと思った」という福田は「真剣な制作過程のうえで、バカなものができる。そのコジコジの精神性に乗っかって企画していった」と語る。落書きから不意に生まれたコジコジというキャラクターが、原作者・さくらももこを『コジコジ』というウィットに富んだギャグマンガへと導いたように、スタッフたちがコジコジに乗っ取られ「バカメルヘン」になって企画が進んだことが本展の魅力をもたらしたのかもしれない。
PLAY! MUSEUMのすぐ上にあるPLAY! PARKには先日、新たな「布」製の遊具が設置された。テントを作ったり、ダイブしたり、自由自在に遊べる空間は、子供たちも喜ぶこと間違いなしだ。
本展は同館限定、巡回はなし。大人から子供まで、ぜひこの機会にコジコジの世界に飛び込んでみよう。