ミニマリズム芸術運動を牽引した彫刻家カール・アンドレが1月24日に88歳で死去した。ニューヨークの所属ギャラリー、ポーラ・クーパー・ギャラリーが明らかにした。
カール・アンドレは1935年にアメリカ・マサチューセッツ州の工業都市クインシーに生まれ、詩を共通の趣味とする両親のもとに育つ。
アンドーバーの名門フィリップス・アカデミーで学んだ後、ヨーロッパ滞在や兵役を経て1957年にニューヨークに居を移し、出版社で職を得た。
1958年よりフランク・ステラとスタジオを共有してコンスタンティン・ブランクーシに影響を受けた、鑿で木に切れ込みを入れる彫刻を制作する。1960年から約4年間ペンシルヴェニア鉄道で制動手として勤務する傍ら、詩作やユニット状の木を組み合わせる「エレメント」シリーズに取り組む。1964年にグループ展で初めて発表をし、翌年にティボール・ド・ナギ・ギャラリーで初個展を行う。
1960年代後半、アメリカを中心にミニマル・アートが興隆。アンドレはこの潮流を代表する彫刻家となっていく。1966年「プライマリー・ストラクチャーズ」展に137個のレンガを直列に並べた《レヴァー》を出品。その後、正方形の金属板を並べた床置き彫刻の制作を始め、アメリカ、ヨーロッパなど各地で空間に合わせて規模の異なる様々な作品を発表する。
1970年には「第10回日本国際美術展(東京ビエンナーレ):人間と物質」の招聘作家として来日。主な展覧会として《作品の37番目のピース》を発表したグッゲンハイム美術館における1970年の個展、1996年「Carl Andre Sculptor 1996」、2014年「Sculpture as Place 1958-2010」など。
日本では3月9日〜6月30日、千葉県のDIC川村記念美術館で「カール・アンドレ 彫刻と詩、その間」が予定されている。
日本の美術館において初めての個展となる本展。同一のかたちと大きさに加工した木、金属、石を床に直接置き、規則的に広がるアンドレの典型的な彫刻作品を大きな空間で展開する。