公開日:2024年12月12日

【プレゼントにおすすめ】子供と読みたいアート・美術の本【8選】

子供と一緒にアートを楽しんだり学びたい。そんな気持ちに応えてくれる本たちを、子供と一緒に暮らす編集者がおすすめ。実際に一緒に読んで・遊んでよかった本をセレクトしました。クリスマスプレゼント、誕生日プレゼント、ギフトにもどうぞ

アート/美術の世界を子供と一緒に楽しみたい。そんな方には美術鑑賞はもちろん、おうち時間でのアート本もおすすめ。ここでは筆者が自宅で子供と一緒に読んでよかったもののなかから、子供向けのおすすめアート本をピックアップ。子供向けと言っても、大人が読んでも楽しく学びがあるものばかりです。

*対象年齢はあくまで目安として記載しています。

【0歳〜/色や音を楽しむ】

もこ もこもこ(谷川俊太郎=作、元永定正=絵)

文研出版 1500円+税

今年(2024年)亡くなられた詩人の谷川俊太郎さん、そして画家の元永定正さんによるロングセラー。最高の芸術家同士の競演、1500円で誰もが買える最高のアートピースです。「もこ もこもこ」という言葉の響きと、不思議でカラフルな絵が組み合わさり、子供たちを笑わせ惹きつける1冊。子供が大きくなったら、美術館で元永定正さんの絵を見たときに、「これは『もこ もこもこ』を描いた人の絵だね」と一緒にお話しできるかもしれません。

おっぱいのたび(ザ・キャビンカンパニー)

岩崎書店 900円+税

展覧会「ザ・キャビンカンパニー大絵本美術展<童堂賛歌>」が全国の美術館を巡回し、大人気を博しているザ・キャビンカンパニーは、阿部健太朗さんと吉岡紗希さんの絵本作家ユニット。『ポケモンのしま』など大人気作品が多数ありますが、個人的にはこの『おっぱいのたび』がかわいくてお気に入り。おっぱいとはなにか……それは地球であり宇宙である……みたいな(?)壮大なスケールがシンプルでカラフルに描かれ、赤ちゃんがおっぱいをちゅっちゅっと飲んでいく姿にほっこり。作家で夫婦のお二人が自身の育児経験から制作したそうです。

【3歳〜/有名な画家の作品にタッチする】

ミッフィーとマティスさん(菊地敦己=構成、国井美果=文)

美術出版社 1500円+税

ミッフィーの絵とマティスの切り絵の世界をつなぎ、子供の視点で絵を観るという、 新しいアートとの出会いを提案する本。ミッフィーがマティスの切り絵作品を見ながら、その形が何を表現しているのか、あれこれ考えてお話しする内容です。大人にとっても、知っているつもりの巨匠の作品を新鮮な目で見るきっかけになるはず。「こどもと絵で話そう」シリーズとして、ほかに「こどもと絵で話そう ミッフィーとフェルメールさん」「こどもと絵で話そう ミッフィーとほくさいさん」もあります。

Artsy Cats(Angie Rozelaar)

Mudpuppy  2592円/$12.99(参考価格)

モンドリアンにピカソ、ゴッホ、スーラ、フリーダ・カーロなど、近現代アートの巨匠たちの名作がネコちゃん風パロディになって登場する絵本。PIET MEWODRIAN、FRIDA CATLO……など洒落が効いてます。我が家の幼児はこれで「スーラはてんてんで描く人(点描)」「モンドリアンは線で四角を描く人」「ゴッホは耳がなくなっちゃった人」などと各作家の代表的なスタイルやモチーフをうっすら覚えました。洋書ですがほとんどテキストはなく絵だけなので子供でも楽しめます。Amazonで購入可能(記事公開時点)。

【4歳〜/アート・美術について楽しく知る】

小学館の図鑑NEOアート 図解 はじめての絵画

小学館 2700円+税

2023年に刊行されてたちまち話題になった小学館のシリーズにおける「絵画」の図鑑。日本と世界の名画約360点が、世界トップ水準の印刷技術で掲載。トピックによっては細かい描写がアップで掲載されていたりして、大人でも驚きや発見がたくさん。見開きごとに、動物、モンスター、クイズ形式など、興味をひくテーマで名画を紹介されていて、時代や作者にとらわれない方法で絵画の見方を学ぶことができます。子供が幼児のうちはパラパラとページをめくりながら「どの動物が好き?」「これは地獄なんだって」などと子供の「好き」「興味」に沿うものを一緒に見ていきつつ、成長に従って解説を読めばより深く絵画について知ることができます。子供がいてもいなくても、一家に一冊あったら楽しい本。なるほど、こういうふうなトピックを立てるのか、こんなふうに図を見せるのか、と図鑑の編集手腕にも脱帽です。

意味がわかるとおもしろい! 世界のスゴイ絵画(佐藤晃子)

Gakken 2200円+税

名作と呼ばれる絵画75点を特大サイズで掲載し、楽しく解説する本。絵に描かれた変なモチーフがいったいなんなのか、この絵を描いた画家の人生とは、など気になるエピソードとともに絵画の世界を紹介する1冊です。伊野孝行さんのイラストが楽しく親しみやすい。

【10歳〜/アーティストの声に耳を澄まして】

はじめての絵画の歴史 ―「見る」「描く」「撮る」のひみつ―(ディヴィッド・ホックニー、マーティン・ゲイフォード)

青幻舎 2700円+税

現代を代表するアーティストのホックニーと美術史家のゲイフォードによる絵画論が、大人から子供まで楽しめる切り口で展開される1冊。レオナルド・ダ・ヴィンチ、歌川広重、ゴッホ、モネ、ピカソら約50人のアーティストの図版約70点を掲載していて、大判なので見応えもあり。本作がユニークなのはホックニーらの語りで進行していくこと。絵の評価というのは、その絵を「誰が」「どのように」見るかということにかかっている。そんな見る側の視点にも気づかせてくれるきっかけになりそうです。

ルイーズ・ブルジョワ 糸とクモの彫刻家(エイミー・ノヴェスキー=文、イザベル・アルスノー=絵)

河野万里子 訳 西村書店 1800円+税

「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」森美術館で9月25日~ 2025年1月19日に開催し、好評を博しているルイーズ・ブルジョワ(1911〜2010)。その幼少期からアーティストになるまでの物語が綴られた伝記絵本です。タペストリーの修復を生業とするブルジョワの母親のもと、少しずつ仕事を覚えていくブルジョワ。そんな姿が美しいイラストとともに描かれていきます。しかし、ブルジョワは、子供の頃からつねに大きな喪失感を抱えている。それを埋めるために、直すために、創作していく。そんなストーリーなので、子供に渡したり、一緒に読む前にはちょっと心の準備が必要かもしれません。でももし身近に、たとえばブルジョワ展を見て、何かを感じとっているような小中学生とか、寂しさを抱えたティーンエイジャーとかがいたら、そっとプレゼントできたらいいんじゃないかな。そんなことを思いリストに入れました。もちろん大人の方にも。

ほかにも画家を主題にした伝記絵本や、有名作家による名作絵本、「工作」「創作」の手解きをする本などたくさんあります。ぜひアートな本とともにおうち時間を楽しくお過ごしください。

福島夏子(編集部)

福島夏子(編集部)

「Tokyo Art Beat」編集長。『ROCKIN'ON JAPAN』や『美術手帖』編集部を経て、2021年10月より「Tokyo Art Beat」編集部で勤務。2024年5月より現職。