加藤瑞穂 著
大阪大学出版会 7200円+税 1月11日発売
2022年〜23年1月まで国立国際美術館と大阪中之島美術館の2館共同で大規模回顧展が開かれるなど、再評価が進む戦後の前衛美術家集団「具体美術協会」。その主要メンバーのひとりとして知られ、具体を去った後も国際的に活躍したアーティストが田中敦子だ。代表作《電気服》などを制作した田中の独創性を、具体のリーダーであった吉原治良、具体メンバーでのちにパートナーとなる金山明という二人の作家との関わりから論じる画期的な1冊。巻末には田中のインタビューも収録。筆者は芦屋市立美術博物館学芸員を経て、現在は大阪大学総合学術博物館招へい准教授を務め、具体の研究を続けてきた加藤瑞穂。
伊藤亜紗 著
NHK出版 720円+税 1月26日発売
『どもる体』(医学書院)、『手の倫理』(講談社メチエ)などの著書が話題を呼んでいる美学者の筆者が、西洋美術をわかりやすく解説。古代から20世紀まで、約40点の名作を鑑賞して、感じたことを語るゼミ形式の内容。「ルネサンスはなぜ重要なの?」「マネの何が革新的なの?」「ピカソはなぜ不思議な絵を描くの?」といった素朴な質問から出発し、言葉を使うことで感性も深めていく。
大澤慶久 著
水声社 4000円+税 1月末発売
戦後日本を代表する芸術家・高松次郎について、気鋭の研究者が論じる1冊。高松次郎の多様な作品に内在する、「リアリティ=真実」/「アクチュアリティ=事実」の美学とは何か。この問いを巡り、作家の思考と作品との間に秘められた、未だ見ぬ回路を切り開く。
水沢勉 著
東京美術 2500円+税 2月2日発売
20世紀初頭、芸術の爛熟期を迎えたウィーンで活躍したものの、わずか28歳で亡くなった夭折の画家エゴン・シーレ。長年に渡りシーレの魅力を紹介してきた、美術史家/神奈川県立近代美術館館長の著者が、その疾風怒濤の人生と代表作を紹介。その後の20世紀美術や現代作家に与えた影響をあらためて見つめ直す。東京都美術館で「レオポルド美術館 エゴン・シーレ展」が開催されているいま、改めてシーレについて知りたい人にぴったりの1冊。
ユッシ・パリッカ 著
太田純貴 訳 フィルムアート社 3200円+税 2月3日発売
アールス大学教授(デンマーク)で、メディア理論、メディア文化を専門とする気鋭の研究者による、人新世のための新たなメディア論。本書は人間的なスケールから逸脱する巨視的・微視的な時空間からメディアテクノロジーの物質性を読み解き、メディア文化・地球・人間を貫く奇妙な関係を浮かび上がらせるという。メディアテクノロジーを条件として「現在」に圧縮される過去と未来、そして迫り来る新たな「人間」と「自然」を探究する。
スザンナ・イヴァニッチ 著
金沢百枝 日本語版監修者 岩井木綿子 訳 東京書籍 3800円+税 2月19日発売
絵画、彫刻、建築、衣装、装飾、装身具などで彩られた、キリスト教・カトリック教会の視覚文化を一望する図鑑。著者は近世ヨーロッパ史を専門とする英国ケント大学の講師、中世・近世研究センター研究員。監修は特に中世ヨーロッパ美術を専門とする美術史家の金沢百枝が担当。「カトリック芸術は、単なる宗教の副産物ではない。それは——聖書の言葉やミサの儀式同様——宗教そのものだ」(「はじめに」より)。
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