アジアを中心とした現代美術の発展を紹介する「アジアン・アート・ビエンナーレ 2024」が、11月16日から2025年3月2日まで、台湾・台中の国立台湾美術館(NTMoFA)で開催される。
2007年にスタートし、9回目の開催を迎える「アジアン・アート・ビエンナーレ」。学際的な背景を持つキュレーターが集まり、多様な文化や幅広い視点を持つアジアのアーティストを招待しながら、交流のためのプラットフォームを創出してきた。
今回のキュレーションチームは、台湾のインディペンデントキュレター・方彥翔(Fang Yen-Hsiang)と、方によって集められた4人の国際的なキュレーターで構成。アルメニア生まれでパリを拠点とするキュレーターのアン・ダヴィディアン(Anne Davidian)、フィリピンのアーティストでリサーチャーのマーヴ・エスピナ(Merv Espina)、シンガポールを拠点に活動する韓国のキュレーター、キム・ヘジュ(Haeju Kim)、イスタンブールとパリを拠点とするキュレーター兼作家のアスリ・セブン(Asli Seven)が参加している。
本芸術祭のタイトルは「How to Hold Your Breath(息を止める方法)」。不確実性に直面して、重要な行為を一時停止し、希望を持つことの緊張を呼び起こすこのテーマは、「息を止めないで」、転じて「期待しないで」という意味を持つ「don’t hold your breath.」というフレーズを反転させたもの。変化はゆっくりとではあるが可能であるということを示唆しており、深呼吸して息を止めることで、後期資本主義と移動の混乱のなかで「いまこの瞬間」に私たちを固定することの可能性を探るという。様々なメディアを用いて、直線的な時間を攪乱し、人や場所に結びついた歴史を明らかにすると同時に、植民地主義と帝国主義の絡み合いを辿るような作品群が紹介される。
会場では、アジア・太平洋地域の20を超える国から集った35組のアーティストが出展し、映像や写真、絵画、彫刻、サウンド、インスタレーションなど、幅広いメディアの新作を含む83点の作品が展示される。
2022年の「ヴェネチア・ビエンナーレ」アルメニア代表のアンドリウス・アルチュニアンや、マレーシアを拠点に活動するアーティスト、シャロン・チン、「シアターコモンズ'24」への参加も記憶に新しいウズベキスタン出身の映像作家/アーティスト、サオダット・イズマイロボ、ロンドンを拠点に活動するゲイリー・チェシー・チャン、台湾のアーティスト/映像作家の郭敬耘(Cetus Kuo Chin-Yun)らが新作を発表するほか、ニル・ヤルター、アピチャッポン・ウィーラセタクン、キリ・ダレナ、イ・ウソン、パク・シュウン・チュエン (白雙全)、ナム・ファヨン、チュオン・クエ・チ&グエン・フォン・リン、地主麻衣子、丹羽良徳らが参加アーティストに名を連ねる。
あわせて「How Breath Moves」と題したスクリーニングプログラムも開催。植民地主義の遺産に対抗する生存と創造性の戦略に取り組む8本の映画が紹介される。またアーティストトークやパフォーマンスなどのパブリックプログラムも予定されている。
アジアン・アート・ビエンナーレ 2024(How to Hold Your Breath – 2024 Asian Art Biennial)
会期:2024年11月16日〜2025年3月2日
会場:国立台湾美術館
ウェブサイト:https://asianartbiennial.ntmofa.gov.tw/2024/