公開日:2025年2月7日

十和田市現代美術館の新館長に四方幸子(キュレーター/批評家)が就任

現館長・鷲⽥めるろの退任に伴う交代

四⽅幸⼦ 撮影:新津保建秀

青森県にある⼗和⽥市現代美術館の新たな館長に、四方幸子(キュレーター/批評家)が就任することが発表された。任期は2025年4月から。2020年から館⻑を務めてきた鷲⽥めるろは3⽉31 ⽇をもって館⻑職を退任する。

7代⽬館⻑となる四⽅幸⼦は、1990年代初頭から黎明期にあったメディアアートのキュレーションに携わり、多くの先⾒的作品を展覧会やプロジェクトで発表してきた。美術館やNTT インターコミュニケーション・センター[ICC]などの施設での活動のほか、ビエンナーレや芸術祭でもキュレーターとして数多くの実績を重ねている。また、2022年より美術評論家連盟の会⻑を務める。⼗和⽥市現代美術館においては、2019年から同館のアドバイザリーボードメンバーとして関わってきた。

現代美術、メディアアート、⾃然、精神、社会科学などを跨いだ領域横断的な研究活動が、同館コレクションのテーマである「⼈間と⾃然」をより⼀層深めていくことが期待されている。

十和田市現代美術館

館⻑就任にあたり四⽅幸⼦より

⼗和⽥から愛をこめて

4⽉より⼗和⽥市現代美術館館⻑に就任する、四⽅幸⼦と申します。
私は⼗数年来、東北や北海道とご縁をいただき、多くの⽅々にお世話になりながら各地の⾃然や歴史、⽂化に触れ親しんできました。本美術館には、これまでアドバイザーとして関わり活動を⾒守ってきましたが、このたび鷲⽥めるろ館⻑の後任として重責を担うことになり、⾝の引き締まる思いです。
本館は、館内に加えて屋外常設作品を街なかに展開することで、2008 年の開館以来、地域そして遠⽅からも多くの来場者を迎えてきました。リピーターの⽅も多く、⼈々に愛されている美術館です。
館⻑として私は、美術館のスタッフとともに、常設作品をしっかりケアし、企画展では国内外のアーティストをジャンル横断的な切り⼝で紹介していく所存です。また地域との関係を⼤切にし、参加型プログラムや街なかプロジェクトを展開し、⼗和⽥の⽂化を⼈々とともに育んでいきたいと思っています。
地球温暖化、社会格差、災害、戦争…世界は現在、さまざまな問題や危機に直⾯しています。そのような時代においてアートは、ますます必要不可⽋なものとなっています。多様なアートに触れることで、⼀⼈ひとりが⽇々を創造的に⽣きること。創造的な志向は新たな創造を⽣み出し、⼈々と共有されることで創造の連鎖が⽣まれていくことでしょう。そこから世界は、変わり始めるのです。

創造の連鎖を起こす原動⼒として、私は「愛」を挙げたいと思います。アートへの愛、⾃分そして他者への愛、過去に⽣きた⼈々やこれから⽣まれてくる⼈々への愛、そして⼈間以外のさまざまな存在への愛。美術館、そして⼗和⽥や⻘森、⽇本、この世界への愛。私たちは、さまざまな存在とつながりながら⽣き、⽣かされています。そのありがたさを感じながら、⼗和⽥から愛をこめてアートを発信していきます。これからも、⼗和⽥市現代美術館をどうぞよろしくお願いいたします。

退任にあたり鷲⽥めるろより

私は2020年4 ⽉に⼩池⼀⼦の後任として着任しました。5 年間の任期中、新型コロナウィルス感染症が拡⼤し、臨時休館や⼊館者の減少などの困難もありました。しかし、この間に、開館後初めて常設展⽰を⼊れ替え、新たに塩⽥千春とレアンドロ・エルリッヒの⼤型作品を加えることができました。そして今では、海外を含め、パンデミック以前よりも多くの来館者を美術館にお迎えできるようにまでなりました。

また、弘前れんが倉庫美術館の開館(2020年)、⼋⼾市美術館のリニューアル開館(2021年)をきっかけに、⻘森県内の他の4 つの美術施設との連携を進め、2024年には、合同でAOMORI GOKAN アートフェス2024 を開催できました。

新館⻑の四⽅幸⼦は、エコロジーとメディア・アートに強いキュレーターです。これまで⼗和⽥市現代美術館が常設作品や企画展で⼤切にしてきた「⼈間と⾃然」というテーマが深まるとともに、未来を問うメディア・アートの視点が新たに加わり、さらに魅⼒的な美術館となると確信しています。
今後とも⼗和⽥市現代美術館をどうぞよろしくお願いいたします。

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