左:Yotta《花子》 「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2024」音羽山 清水寺での展示の様子 右:臨済宗大本山 東福寺
「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2025(アーティスツ フェア キョウト)」が2月28日から3月2日まで開催される。本フェアは、アーティスト主導の新しいかたちのアートフェアとして2018年に始まり、今回で8回目を迎える。
2025年のテーマは「Singularity of Art(シンギュラリティ オブ アート)」。ディレクター椿昇のもと、京都国立博物館 明治古都館、京都新聞ビル地下1階をメイン会場に、気鋭の作家たちとその作品が集う。アドバイザリーボードの推薦や公募で選出された作家たちの話を来場者が会場で聞きながら購入を検討できるのが本フェアの醍醐味だ。
今回、アドバイザリーボードを務めるのは以下の16組。
池田光弘、伊庭靖子、薄久保香、大庭大介、大巻伸嗣、オサム・ジェームス・中川、加藤泉、鬼頭健吾、田村友一郎、津田道子、鶴田憲次、名和晃平、ミヤケマイ、ヤノベケンジ、Yotta、ロバート・プラット
フェア前日の2月27日には、出品作品からとくに優れたアーティストを選出する「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2025 マイナビ ART AWARD」の授賞式が開催されるので、受賞作品やアーティスト情報にも注目したい。
さらに初の試みとして、京都五山のひとつに数えられる名刹・臨済宗大本山 東福寺が会場に加わる。アドバイザリーボード+ディレクターの15組がこちらで作品を展示する。
重森三玲による「八相の庭」でも知られる東福寺。その特別な空間や建築とともに、現代アートの新たな可能性が探求される場となる。京都の歴史と現代アートが交差するユニークな空間で、どんな多様な表現の作品が展示されるのか、期待したい。
今年もアートユニットYottaによる巨大作品《花子》が登場。今年は臨済宗大本山 東福寺が展示の舞台になる。こけしをモチーフにした迫力ある巨大作品で、時折作品から発せられる一言も愛らしく、笑いを誘うだろう。
東福寺ではトークプログラムを開催。3月1日には、「漫画家 押切蓮介と編集者」、3月2日には若手批評家育成プロジェクト「歴史・批評 ・芸術」トークセッションが行われる。参加希望者は公式サイトをぜひ確認してほしい。
ARTISTS’ FAIR KYOTO のコンセプトに共感する企業がアーティストをフィーチャーした展覧会を京都市内の各所で開催するサテライト展示も開催される。
会場:千總本店 千總ギャラリー、Artist-in-Residence 賀茂なす、MtK Contemporary Art、京都 蔦屋書店 6F アートウォール、THE THOUSAND KYOTO 1階 アートギャラリー、大丸京都店 1階 正面ウィンドウ、6階 美術画廊前アートスポット(日程は各会場によって開催期間が異なる)
注目の展覧会は、千總ギャラリーでの「加藤泉×千總:絵と着物 IZUMI KATO×CHISO:PAINTING IN KIMONO」(会期:2月27日~9月2日)。1555年に京都・烏丸三条に創業した千總は京友禅の老舗。現代美術家の加藤泉と共同制作した作品を展示する本展では、加藤によるスケッチをもとに、糸目友禅や描き友禅、絞り染め、刺繍、仕立てまで、20から30にもおよぶ伝統的な工程を経て制作された着物の形をとった作品などが展示。これらは京都在住の専門職人たち20名以上のチームワークによってようやく完成したという。
会場は一部会場を除き無料。詳細情報は公式ウェブサイトにて随時更新される。早春の京都で、アートと歴史が交差する特別な時間を体験してみてはいかがだろうか。