4月2日より、東京国際フォーラムにて「アートフェア東京2010」が開催される。日本一の規模を持つ「アートフェア東京」が、今年で5回目の開催を迎えるにあたり、アグネスホテルアートフェアや101 TOKYOなど、東京×経済×アートをめぐる動向は近年の東京のアートシーンを語る上でも重要である。
けれども、その歴史を書き出し始めると切りがなくなってしまうので、とりあえず「2010年 東京で行われるアートフェアの傾向」を上げてみよう。以下の動向を頭に入れ、アートフェアに行けば3倍面白くなるはず。
・101 TOKYOは今年は開催されないようだ
Art Basel、Art Basel Miami、Frieze Art Fair、The Armory Showも、それぞれPULSEやZoo Art Fair、SCOPEなど若手ギャラリーが集うサテライトフェア(や、同時開催フェア)が付き物である。
老舗・中堅・若手ギャラリーらがそれぞれ同時期に、様々な立ち位置でアートフェアを開催することで、都市全体がその時期、「現代アート」一色となり、世界中のアート関係者が集まるのだ。
もちろん東京でも、その空気を欲した若手ギャラリーたちが集い2008年に「101 TOKYO Contemporary Art Fair」を立ち上げたことにより08年、翌09年と「大御所フェア VS 現代美術専門の若手フェア」の空気を楽しめたのを覚えている。しかし理由は定かではないが”2010年4月には101 TOKYOは開催されない”との情報が入ったのだった(※1)。
アートフェア東京2010では、同会場のロビーギャラリーで「PROJECTS」という開廊5年以内の若手現代アートギャラリーを中心としたセクションが設けられる。このロービーでいかに”101 TOKYO不在感”を補えるのかが今年のアートフェア東京2010の見所の一つであろう。
※1. 2010年3月下旬現在の情報。
・1月に行われたG-tokyo 2010は圧巻だった
今回はnewwavechのゲストリポーターとして工藤キキ ※2 さんに G-tokyo会場でリポートしていただきました。
まずビデオ取材した動画をご覧頂きたい。
G-tokyo 2010は、2010年1月29日-31日、森アーツセンターギャラリーで行われた新しいフェアだ。
アラタニウラノ、ギャラリー小柳、ギャラリーSIDE2、ヒロミヨシイ、ケンジタキギャラリー、児玉画廊、小山登美夫ギャラリー、ミヅマアートギャラリー、オオタファインアーツ、SCAI THE BATHHOUSE、シュウゴアーツ、タカ・イシイギャラリー、TARO NASU、ワコウ・ワークス・オブ・アート、山本現代ら、東京を代表するTOP15ギャラリーが集結、出展作家群、作品の質もそうだが「世界主要アートフェア並のブースの広大さ」が圧巻であった。
ここ5年間を振り返っても、あれほど大きなギャラリーブースが揃ったアートフェアは東京にはなかった。各ギャラリーは、その広大なブースで自廊で企画展をするかのようにダイナミックな展示を展開していた。夢にまで見た東京のギャラリー街をお披露目されたようで、確かに数点の不満点はあったもののそれを吹き消すほどの「世界水準のアートフェアへ」が確かにそこに存在していた。
G-tokyoを体験(※3)した後にアートフェア東京2010を足を運んでいただきたい。両フェアに出展しているギャラりーもあるので、同じギャラリーでもブース展開にどのような違いがあるのか見てみると面白いはず。
※2. 工藤キキ 1972年横浜生まれ。アートライター。文藝、remix、QuickJapan、STUDIO VOICE、美術手帖等にて執筆。著書に「post no future ―未分化のアートピア」「あすなろさん」「姉妹7センセイション」「よのなかのパロディ」等。その他ミヅマアートギャラリーやヒロミヨシイにてゲストキュレーターとして展覧会企画も。
※3. 公式サイトには、写真や本記事の動画が掲載されているのでぜひ仮想体験して欲しい。
・日本独自の若手アートフェア「アート天国」は再度体験したい
もう一つ新しいフェア「アート天国〜虎の巻〜」が2010年2月25日-28日と3日間に渡り開催された。
このフェアの特徴はなんといっても会場が銭湯の二階であるということ。
日本文化ならではの銭湯空間をうまく活用したカオス的フェアは、より若者たちの心を掴んだかもしれない。
出展ギャラリーは、galeria de muerte、LOOP HOLE、NANZUKA UNDERGROUND、Takejiroshokokai、MISAKO & ROSEN、Take Ninagawa、Yuka Sasahara Gallery、ZENSHIと多くが101 TOKYOへの出展実積をもった若手・中堅ギャラリーである。G-tokyoが「世界水準のアートフェア空間」であれば、アート天国は小規模ながらもさながら「世界レベルの若手フェア」だったかもしれない。
非常に惜しいのは開催時期が2月だということ。アートフェア東京を見に世界からやってくるアートラバー達に「こんなフェアもありますよ」と見せたかったと勝手に思ってしまう。
この2010年の動向の中で、いかにアートフェア東京2010は何を魅せてくれるのか?
そしてアートフェア東京2010が終わった後も、ULTRAやZine’mateの他、突発的な新アートフェアなどが待ち構えている。今年も東京のアートフェアシーンは見逃せない。