国内屈指の城郭として国の特別史跡に指定されている名古屋城は、国内外より年間200万人以上もの人々が訪れる観光名所としても知られる。地域の重要な観光資源でもある名古屋城内の各所で、アートプロジェクト「アートサイト名古屋城 2024 あるくみるきくをあじわう」が行われる。企画・制作はTwelve Inc.、キュレーターは服部浩之。
作品展示の会期は11月28日〜12月15日。参加作家は狩野哲郎、久保寛子、高力猿猴庵、菅原果歩、千種創一 + ON READING。日中から夜間まで楽しめる「ナイトミュージアム名古屋城」は12月6日〜8日の3日間行われ、川村亘平斎、野村誠、山城大督が参加する。
民俗学者の宮本常一は「歩く」「見る」「聞く」を旅の基本とし、日本観光文化研究所を設立し、雑誌『あるくみるきく』を刊行。本展は、宮本による「あるく」「みる」「きく」という態度に着想を得ているという。
出品作家である菅原果歩は名古屋城に住むカラスに着目。サイアノタイプという日光を用いた写真とフィールドノートによりカラスたちの様子を記録していく。植物や鳥など、人間以外のものたちへと目を向ける狩野哲郎は、屋外の水飲み場やバナナ(芭蕉)の木など通常の観光ではあまり注目されない場所に立体作品を展開。さらに本丸御殿でも襖絵の動植物たちに呼応するように作品を展示する。
本丸御殿中庭では、シャチホコに関心を抱いた久保寛子がシャチホコのルーツとされるインドの神獣マカラとそれに跨る女神をモチーフにした彫刻を設置。水害や工事現場で用いられるブルーシートが素材だ。そして、二之丸庭園では歌人/詩人の千種創一と短歌集の出版なども行う書店ON READINGの協働による作品が発表される。
3日間限定の「ナイトミュージアム名古屋城」では、作品展示に加え本丸御殿の夜間特別公開、二之丸庭園の紅葉ライトアップ、トークイベントやワークショップ、アーティストによるパフォーマンスも実施。フードやドリンクが楽しめる「リトルマーケット」も同時開催されるため、お祭り気分で楽しめそうだ。
色鮮やかに紅葉する秋の名古屋城。城内の全域に点在するアート作品をめぐり歩きながら、歴史ある城内の隅々を堪能したい。