青森県立美術館が2023年度の展覧会スケジュールと内容を発表した。7月からは「生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」(7月29日〜9月24日)、10月からは「奈良美智個展2023(仮称)」(10月14日〜2024年2月25日)が開催される。
やはり注目したいのは10月開催の奈良の個展。青森県弘前市出身の彼にとって、同館での個展は2012年に開催された「奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている」以来、2度目となる。それから10年を経て開催される今回は、東日本大震災から今日に至るまでの約12年間の作家の活動をふり返りつつ、学生時代にまでさかのぼった作品の数々も合わせて展示。過去と現在を行き来するように旧作と近作が織りなす展示空間から、美術館の外に続く奈良の郷里の風景へと、観客を誘うという。1990年代から作品収集を始め、世界最大の奈良作品のコレクションを誇る同館ならではの単館企画で、ここでしか見ることのできない展覧会になる。
時系列としては先に開催されるのが「生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」。「世界のムナカタ」として国際的な評価を得た版画家・棟方志功の生誕120年を記念して、富山県美術館、青森県立美術館、東京国立近代美術館が協力して開催する回顧展だ。棟方が居住、あるいは創作の拠点とした青森、東京、富山の3地域は、それぞれに芸術家としての棟方の形成に大きな影響を与えたという。同展では、棟方と各地域の関わりを軸に、板画、倭画、油彩画といった様々な領域を横断しながら、本の装丁や挿絵、包装紙などのデザイン、映画・テレビ・ラジオ出演にいたるまで、時代特有の「メディア」を縦横無尽に駆け抜けた棟方の多岐にわたる活動を紹介。棟方志功とはいかなる芸術家であったのかを再考する。