10月7日、パレスチナ暫定自治区のガザ地区を、実効支配するイスラム組織ハマスが突如、イスラエルへ攻撃を開始。それに対して10月19日、文化団体へむけてARTFORUMにて名だたるアーティストやアート関係者たちから、民間人への暴力と殺害の停止やパレスチナ解放と即時停戦、ガザへの人道的支援等を求める内容のオープンレターが公開された。
署名に名を連ねたのは、ナン・ゴールディン、ピーター・ドイグ(ドイグはその後、署名を撤回した *2023年10月30日編集部追記)、ブライアン・イーノ、ジュディス・バトラー、バーバラ ・クルーガー、タニア・ブルゲラなど、約8000近くにのぼる。
内容の詳細はこうだ。
アート・コミュニティは多様であり、国境、国籍、信仰や信念のシステムを超えている。私たちアーティスト、作家、キュレーター、映画製作者、出版社、そして機関や組織のために働く労働者は、それらが単に安全であるだけでなく、人道的な空間であることを保証される必要がある。
私たちは、占領され包囲されたガザ地区で230万人のパレスチナ人が直面している人道的危機をめぐる制度的沈黙を直ちに破ることを要求する。国連パレスチナ常駐人道調整官の言葉を借りれば、「国際社会がこのような事態を放置すれば、私たちの人間性が失われてしまう。私たちがいま見ているのは、たんに非人道的なことなのだ」。そのアイデンティティにかかわらず、すべての市民に対する暴力を拒否し、暴力の根本原因である抑圧と占領を終わらせることを求める。そして芸術団体に文化労働者との連帯を示し、私たちの政府に即時停戦と人道援助が妨げられずに入ることができるよう、ガザの横断歩道の開放を要求するよう求める。
私たちは、表現の自由を守り、教育、コミュニティ、創造性を育むことを使命とする芸術団体や組織は、生命の自由と生存の基本的権利のためにも存在すると信じている。私たちは、生命にも芸術にもふさわしくない非人道的な行為を拒否し、停戦を求めるよう各国政府に公的に要求することを求めたい。
この動きに対し、レヴィ・ゴーヴィ・ギャラリーの共同創設者ドミニク・レヴィとブレット・ゴーヴィ、ルクセンブルク&ダヤン・ギャラリー共同創設者のアマリア・ダヤンは、ARTFORUM上で「オープンレターは一方的な見解」だと反論するテキストを公開。
その後、10月23日にはオープンレターの記事が更新された。「『すべての民間人に対する暴力』を拒否するという私たちの呼びかけが、一部の読者によって、その暴力に反発していないと理解されたことを悲しんでいる。すべての民間人の犠牲者を悼む。すべての人質の迅速な解放を望み、即時停戦を求め続ける」と、再度強いメッセージが届けられた。
2023年10月25日現在でも、ガザ地区での死者は5000人を超えたとも報道されている。