公開日:2023年11月16日

艾未未(アイ・ウェイウェイ)のロンドン個展が中止に。パレスチナとイスラエル情勢をめぐるSNS投稿がきっかけ

イスラエル・パレスチナ情勢を巡る発言で、中国人アーティストが波紋

艾未未(アイ・ウェイウェイ) 出典:https://www.aiweiwei.com/about

11月14日、『The Art Newspaper(アート・ニュースペーパー)』が艾未未(アイ・ウェイウェイ)のロンドンでの個展が事実上中止になったと報じた。

アイは1957年中国生まれで、国際的にもっとも影響力のある現代アーティストのひとり。個展はロンドンのリッソン・ギャラリーで今週から開催予定だったが、直前に無期限の延期が決定された。これに対しアイは「事実上の中止」だと語っている。

リッソン・ギャラリーは、アイがSNSで投稿したパレスチナとイスラエルの情勢をめぐる発言を理由に、作家と話し合いの末、いまは新作を展示するのに適切な時期ではないと結論付けたと発表。「イスラエルとパレスチナの領土、そして国際的なコミュニティにおける悲劇の苦しみを終わらせることに全力を注ぐべきときであり、反ユダヤ主義やイスラム嫌悪とみなされるような議論の余地はない。アイ・ウェイウェイは表現の自由を支持し、虐げられた人々を擁護してきたことで知られ、我々は彼との長年の関係を深く尊重し、大切にしている」と声明で述べている。

またBBCは、アーティストの代理人によれば、ニューヨーク、パリ、ベルリンの3つの展覧会も中止されたと報じている。

アイによる当該の投稿はすでに削除されているが、そこでは「ユダヤ人迫害にまつわる罪の意識」がアラブ世界への対応として転嫁されてきたと指摘。また、アメリカのメディア、金融、文化に対してユダヤ人コミュニティが強い影響力を持ち、アメリカがイスラエルに年間30億ドル(約4500億円)の軍事支援を行っていることについて、両国が運命を共にしていると述べていた。

アイはこれまでもパレスチナ支持を表明しており、2017年公開(日本では2019年)のドキュメンタリー映画『ヒューマン・フロー 大地漂流』の撮影では、ガザ地区を訪れている。

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