公開日:2022年3月25日

2022年度の東京都写真美術館のラインナップが公開。野口里佳、深瀬昌久など

日本の初期写真、新進作家のグループ展、恵比寿映像祭など定番の企画も充実

野口里佳 クマンバチ #1 2019 作家蔵

前衛、死、光学……多彩なテーマの2022年度

写真、映像などの視覚表現を主に扱う東京都写真美術館の2022年度展覧会予定が発表された。

収蔵品を紹介する「TOPコレクション」では、3月2日から6月5日まで「TOPコレクション 光のメディア」がすでに開催中。写真にとって重要な要素である「光」に着目し、19世紀中葉に活躍した写真技術の先駆の一人であるウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットから、20世紀初頭のモホイ=ナジ、マン・レイ、そして現代の作家の作品が並ぶ。

5月20日から8月21日には「アヴァンガルド勃興 近代日本の前衛写真」が開催。シュルレアリスムや抽象美術の影響を受け、1930-40年代までのあいだに全国各地のアマチュア団体を中心に勃興した日本の前衛写真の潮流を紹介。同時代に流行した前衛絵画との関係性や、そのほかの写真表現に関わる動向と対応させた展覧会となる。

6月17日から9月25日に開催の「メメント・モリと写真(仮称)」では、19世紀から現代までの写真表現を通して、人々が死(=見えない世界)をどのように見つめてきたかを探る。国立西洋美術館所蔵のハンス・ホルバイン(子)《死の舞踏》も約20年ぶりに公開される。

日本の初期写真史を各都市の特徴を通して見るシリーズでは、函館にフォーカスする「写真発祥地の原風景 幕末明治のはこだて」3月2日から5月8日まで開催中。

映された作品だけでなく、それを媒介するメディア装置にも着目してきたのが同館だが、8月9日から10月10日に開催の「光学を超えて(仮称)」では、1960~70年代の初期コンピュータで生成されたイメージ、そしてコンピュータで制作された近年の作品を展覧する。出品は川野洋、藤幡正樹、木本圭子、タマシュ・ヴァリツキーらを予定。

通例のグループ展「日本の新進作家 vol.19(仮称)」が9月2日から12月11日に行われたあとは、10月7日から2023年1月22日まで待望の「野口里佳(仮称)」の個展がスタート。水中、高地、宇宙といった未知の領域と人間との関わりをテーマとしてきた野口の活動を辿る。「飛ぶこと」をテーマに、近作・新作をインスタレーション形式で構成するとのこと。

野口里佳 クマンバチ #1 2019 作家蔵

2023年は、2月3日から3月26日(3F展示室以外は2月3日~2月19日)まで「恵比寿映像祭 2023(仮称)」を実施。映画上映も含めた多彩なプログラムやイベントが楽しみだ。そして3月3日から6月4日には「深瀬昌久(仮称)」の個展が開催。1960-70年代、同時代の森山大道、荒木経惟らとともに日本写真界を切り開いた写真家の歩みを代表作で追う。

写真・映像を起点に、多岐に広がる視覚イメージを扱う東京都写真美術館の2022年度に期待が高まる。

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