文化庁による平成25年度芸術選奨文部科学大臣賞・新人賞が決定した。
毎年、芸術の各分野において優れた業績を上げ、新たなフェーズを切りひらいた人々に贈られる本賞。近年では奈良美智(「奈良美智: 君や 僕に ちょっと似ている」2013年)、佐藤雅彦(『2355』『0655』2012年)、大友良英(「プロジェクトFUKUSHIMA!」2012年)、オノデラユキ(「オノデラユキ 写真の迷宮へ」2011年)などが受賞している。
さて気になる今年度のラインナップも、昨年のシーンに大きな影響を与えた名前が並ぶ。
美術部門の文部科学大臣賞は、昨年の大規模な巡回展覧会で大きな話題を集めた大竹伸朗が受賞。丸亀市猪熊弦一郎現代美術館での個展「ニューニュー」をはじめ、高松市美術館、瀬戸内国際芸術祭のほか、ヴェネチア・ビエンナーレ企画展の出品などにおいてこれまでの創作活動の集大成を見せ、更なる国際的な評価を獲得したことが贈賞の理由となった。
続く美術部門の新人賞は写真家の米田知子。東京都写真美術館での個展「米田知子 暗なきところで逢えれば」において、写真によって歴史的な記憶を可視化する徹底したアプローチが高い評価を得た。
また、芸術振興部門の新人賞では、あいちトリエンナーレ2013の芸術監督を務めた五十嵐太郎が受賞した。3.11以降に開催される国際芸術祭とあって、テーマを「揺れる大地ーわれわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活」と設定。東日本大震災と福島第一原発事故に関するさまざまな視点や領域の表現を国内外から集結させた。また、建築史家である五十嵐が国際美術展において建築分野を深く結びつけた点、そして震災以降における活動も含めて今回の贈賞に至った。
メディア芸術部門の新人賞は、NHK EテレのTV番組『デザインあ』の映像監修を務める中村勇吾が受賞。デザインの面白さ、デザイン的な視点や感性を子どもに伝える『デザインあ』は、子どもから大人まで幅広い層からの支持を受ける先鋭的な教育番組だ。番組制作にとどまることなく、昨年21_21 DESIGN SIGHTで開催された「デザインあ展」など多方面に展開し、日本のデザイン教育に新たな視点を与えたことも今回の贈賞理由のひとつ。今後の世界のデザイン教育に大きな指針を示したと評された。
そのほかにも、映画監督の是枝和裕(『そして父になる』)、スタジオジブリのプロデューサー鈴木敏夫(『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』)、また声優の水樹奈々などの名が並ぶ。詳しくは文化庁公式サイトにて。
文化庁公式ウェブサイト
文化庁「平成25年度(第64回)芸術選奨文部科学大臣賞及び同新人賞の決定について」
Text: Arina Tsukada