「釘を打つ（打たれる）」

10月13日終了

アーティスト

新井碧、菊池遼、山縣瑠衣

POOL SIDE GALLERYでは、2024年9月13日（金）から10月13日（日）の会期で、新井碧、菊池遼、山縣瑠衣、3名の作家による「釘を打つ（打たれる）」を開催いたします。

イギリスで古くから親しまれる「マーザーグース」の詩に下記のようなものがあります。

釘がないので蹄鉄が打てない
蹄鉄が打てないので馬が走れない
馬が走れないので騎士が乗れない
騎士が乗れないので戦いが出来ない
戦いが出来ないので国が滅びた
すべては蹄鉄の釘がなかったせい

これは、些細な出来事が連鎖し、取り返しのつかない結果を引き起こしてしまうことを描いた寓話です。ところで、ここでの「釘」は、不足によってネガティブな結果をもたらすものですが、見方を変えれば、作家の表現（結果）にも何かしらの隠された「釘」が存在していると考えられないでしょうか。つまり、ある表現が結実するための原因としての「釘」です。それは誰かの表現かもしれないし、何かの出来事かもしれないし、時代の空気かもしれません。そうであるならば、こう考えることもできるでしょう。「釘」によって結実した表現が、また誰か（鑑賞者に限らず作家自身も含めて）にとっての「釘」になる（可能性がある）。

この展覧会では、作品の一つ一つがそのような「釘」として機能し、創造的な連鎖を生み出すことを目指します。美術という存在自体が、ある意味でそのような連綿とした営みであり、その中で新たな「釘」を打ち続ける行為なのです。

ところで、私たちが日常で経験する「気付き」は、誰かの表現をきっかけとして生まれることが多いように思われます。存在はしていたのに誰にも意識されなかったものが、誰かによってかたちが与えられて初めて意識に上がるということは、誰でも経験したことがあるでしょう。それはつまり、作品（表現）が「釘」として機能し、「気付き」という結果を与えたということです。そして、それはまた新たな「釘」を生むことでしょう。

この展示では、そうした「釘」と「気付き」の連鎖が、過去から未来へと繋がり、鑑賞者自身がその連鎖の一部となるような体験を作ることを試みます。作品という「気付き」の痕跡を辿りながら、未踏の領域へと繋がっていく、過去から未来への連鎖をぜひ体験していただければと思います。

スケジュール

開催中

2024年9月13日(金)〜2024年10月13日(日)あと17日