石田省三郎 「Where Water Meets the City」

IG Photo Gallery
残り4日

アーティスト

石田省三郎
IG Photo Galleryでは2025年3月11日(水)より、石田省三郎展「Where Water Meets the City」を開催いたします。
石田省三郎は2018年から写真作家としての活動を始め、同年にIG Photo Galleryを設立。写真集『Radiation Buscape』の刊行と同時に同展を開催してから、コンスタントに個展を開いてきました。近年は映像作品の制作も行い、2024年には「PROJECTED PROJECTION vol.01『以後の風景:石田省三郎 feat. 金村修』」(Modulation 8企画・CAVE-AYUMI GALLERY)で映像作品を発表しています。

今回の「Where Water Meets the City」展のモチーフとなっているのは水門です。河川や用水路を横断してつくられ、水位を保ち、逆流を防ぎ、堤防の機能を果たす、社会を支える基盤の一つです。石田はこれまで社会とインフラストラクチャーとの関係を視覚化する作品を発表してきました。デビュー作の「Radiation Buscape」は、東日本大震災の影響で運行を停止した鉄道の代わりに定期運していたバスの車内から撮影した作品です。撮影された写真には、福島第一原発の事故により帰還困難区域となった地域が含まれていました。

震災により、現代人が享受している電力、交通のもろさが明らかになり、先進技術であるはずの原子力発電所の事故で人が住めない一帯が生まれてしまう。現代社会の脆弱さにフォーカスした作品でもありました。その後も石田は、現代社会を成り立たせるために不可欠なシステムに写真でアプローチしていきました。「TSUKIJI JONAI 2018」では築地市場の移転にあたり、抜け殻になりつつあった市場と、そこで長い間時を刻んできたモノたちをモノクロ写真で表現しました。戦後の経済成長によって膨張した東京の食を支えてきた市場へ奏でたレクイエムのような作品です。「Where Water Meets the City」では「TSUKIJI JONAI 2018」に続き、東京という大都市を支えるインフラとしての水門に着目しています。

石田はステートメントでこう述べています。
「東京は、江戸時代から河川や運河を巧みに利用して発展した都市であり、水と深く関わってきた歴史を持つ。そのため古来、洪水や高潮から都市を守るための治水対策が重要視されてきた。(中略)この作品を通じて、東京が長い歴史の中でどのように水と共生してきたのか、その物語を伝えたいと考えた」

水門の歴史を振り返るとそこには水害があります。明治43年の大水害をきっかけに、岩淵水門と荒川放水路が建設されました。しかし、いまやそのことを知る人は少なく、多くの人が水門の存在を意識することなく都市生活を送っています。石田はこの存在は知っているが意識はしていない被写体に対し、16:9の横長フォーマットで撮影し、水門のみならず水門の周囲にある建築物までをフレームに入れています。水害を未然に防ぐ水門は都市における縁の下の力持ちのような存在です。発展を続ける都市の風景の中で、一見変わらず都市を黙々と守り続けるその姿を、冷静に観察したのがこの作品だと言えるでしょう。時とともに移りゆく都市。その都市を守る存在としての水門。災害についてのニュースがとりわけ増えているように感じられる昨今、都市と防災、都市とインフラストラクチャーを考えるヒントになる作品です。
なお、3月15日(土)18:00よりギャラリーでトークセッションをライブ配信いたします。そちらもぜひ、ご視聴ください。

スケジュール

開催中

2025年3月11日(火)〜2025年3月29日(土)あと4日

開館情報

時間
11:0018:30
休館日
日曜日、月曜日、祝日
入場料無料
展覧会URLhttps://www.igpg.jp/exhibition/ishida25.html
会場IG Photo Gallery
https://www.igpg.jp/
住所〒104-0036 東京都中央区銀座3-13-17 辰中ビル302 石田法律事務所内
アクセス東京メトロ日比谷線・都営浅草線東銀座駅A7出口より徒歩3分
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