あべさやか 「Traveling Tea House」

コートヤードHIROO
明日から

アーティスト

あべさやか
コートヤードHIROOとgallery ayatsumugiは、4月5日(土)から4月29日(火・祝)まで、あべ さやかの個展「Traveling Tea House」を開催いたします。あべ さやか(1980年生まれ)は、日常では見えにくい声や存在を、インスタレーション、ビデオ、ドローイングなどの手法で可視化する作品を発表してきました。

彼女のデビュー個展「The pocket world(ポケット・ワールド)」は、ヘリット・リートフェルト・アカデミーを卒業した2009年に、オランダ アムステルダムで開催されました。テーマは移動できる小さなプライベート空間としての衣服のポケットです。

日本では「陶」、オランダでは「ジュエリー」を専攻て学んできたあべの関心事は、この頃から「親密で快適な空間を持ち歩く」ことに向かっています。それは、大学内の施設や自宅を移動して作品を運びながら制作していた経験から生まれてきました。丸めて持ち運びしやすい布が作品の素材に選ばれているのは、そのためです。
また、布に描き出されたイメージに光が透過したり、展示された作品が風にふわりと揺れる様は、あべの「地域や領域の境をとかしていく」活動スタイルとも重なり、現在も重要なテーマになっています。
この時の作品は2点、SNS REAAL基金のNOGコレクション(オランダ)に収蔵されています。

2013年には、徳島県神山町の神山アーティスト・イン・レジデンスに参加しました。ここでは、梅やすだちといった地域の特産品をモチーフに、人々の日常をすくい上げる作品を制作しています。以降、オランダと日本の2拠点で制作するようになりました。
2015年には、オランダ ユトレヒト州の精神科病院アルトレヒト病院で行われているアーティスト・イン・レジデンス プログラム「The Fifth Season(フィフス・シーズン)」に参加しました。

各地のアーティスト・イン・レジデンスに参加をすることで、あべ さやかは地域の人々との協働の回路をひらいてきました。時に食卓を共に囲み、その土地の人の話を聞くことで、人々の内側にある興味関心や、普段は意識されない習慣的な活動を「ちいさな声」としてすくい取り、作品に落とし込んでいくのです。
こうして制作されたあべの作品群は、人物ひとりひとりに向けた繊細な眼差しと、その人にとっての「親密で快適な時空間」を描きだしています。
フィフス・シーズンで制作した作品は、2017年にアーツ千代田3331で開催された「ソーシャリーエンゲイジドアート展 社会を動かすアートの新潮流」で紹介されました。

また、2016年には人口5,000人(2025年現在)の徳島県神山町に移住。神山メイカースペースを立ち上げて地域の子ども達にものづくりの場を提供しているほか、2018年にはパートナーのマヌス・スウィーニーと共に、ナノブルワリー「KAMIYAMA BEER」を設立して、アートディレクションを務めています。

デビュー作「The pocket world」で、移動できる親密な空間として始まった、あべの活動は現在、地域にクリエイティブで心地のよい空間を創出するに至るまで拡張しています。そして、あべの関心事は、神山町の豊かな自然に囲まれて子育てをする暮らしの中で、「五感」や「四季」にもさらに広がってきています。

本展のメインとなるプロジェクト「Traveling Tea House」は、茨城県大子町の精神科病院 袋田病院とフィフス・シーズンとの協働プロジェクトで制作されたものです。2019年にスタートしたこのプロジェクトに、あべ さやかは2022年から参加をしています。

コロナ禍で移動が難しかったこともあり、当初プロジェクトはオンラインで進みました。あべ さやかが神山町から送ったすだちなどを、袋田病院の参加者が実際に手にとり、五感で感じた情報をドローイングやオノマトペに置き換えるワークショップ「HapticScape」は、遠隔でも五感を通じた交流を実現させました。

また、「Traveling Tea House」は、あべが神山町から藍の種を送り、袋田病院の自然農園「ここあ農園」で藍を育てることから始まりました。そして、あべが滞在中に、患者やスタッフと共に育った藍の葉で布を染め、神山の古民家でみつけてきた蚊帳をみなで修繕し、その蚊帳の中で藍の葉のお茶を飲むというもの。院内の日常が、爽やかな藍の色で染められた時間でした。

袋田病院でのレジデンス・プロジェクトについて、あべが決めたことがふたつあります。ひとつは「10年間関わる」こと、そしてもう一つは「病院の外に伝える活動をすること」です。

「Traveling Tea House」は、袋田病院で制作されたあと、オランダでも2箇所で展示を行っており、日本の病院外では今回が初公開です。会期中の週末には、袋田病院やオランダであべが実際に行っていたように、藍染の蚊帳の中でTea party(茶会)を開催します。居合わせた方はどなたでも参加可能ですので、詳しくはアーティストやコートヤードHIROO、gallery ayatsumugiのSNSをご覧ください。

「ソーシャリー・エンゲイジド・アート」とは、現実社会に積極的に関わり、人びととの対話や協働のプロセスを通じて、何らかの社会変革(ソーシャル・チェンジ)をもたらそうとするアーティストの活動の総称として知られています。社会変革というと、権力や大きな出来事によるものとイメージされがちですが、あべの活動による社会変革は、日常から繊細に紡ぎ出される新たな物語に触れた、誰かの心のひだから生まれてくるものなのです。ぜひ、展覧会をご覧いただき、アートを通じた社会変革の一助となってください。

あべ さやかの日本での初個展をお見逃しなきよう、皆さまのご来廊を心よりお待ちしております。

スケジュール

2025年4月5日(土)〜2025年4月29日(火)

開館情報

時間
12:0019:00
最終日は17:00まで
休館日
月曜日
4月28日は開廊
入場料無料
展覧会URLhttps://cy-hiroo.jp/topics/gallery/archives/7887
会場コートヤードHIROO
http://cy-hiroo.jp/
住所〒106-0031 東京都港区西麻布4-21-2
アクセス東京メトロ日比谷線広尾駅4番出口より徒歩9分、東京メトロ日比谷線・都営大江戸線六本木駅1a出口より徒歩14分
電話番号03-6427-6724
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