名知聡子 + 小山田将監 「Portraits 描かれているのはだれ?」

Artist Cafe Fukuoka
あと2日で開催

アーティスト

名知聡子、小山田将監
本展は、Artist Cafe Fukuokaでは初めてとなる、熊本を拠点にするアーティストに光を当てる企画です。2名のアーティスト、名知聡子と小山田将監は熊本出身ではありません。芸術的目的のために移住したのではなく、それぞれ個人的な理由から、この土地で暮らすことになりました。まったく異なるアプローチをもつ二人に共通するテーマは「ポートレート」です。

一貫して自画像を描いてきた名知聡子は、名古屋から熊本に移り、新しい生活に馴染めず、記憶を「養分」として暮らしている自分自身を、反復的に描き続けています。時おり、視点が自分自身から外へと移り、熊本に移住してから必需品となった車や、思わず目を奪われた阿蘇の日の出の風景のようなモチーフが、ポートレートと同様に抽象的に描かれます。少し窮屈そうに画面いっぱいに描かれた自画像は、見知らぬ土地での戸惑い、窮屈さ、自分の意思と力だけではコントロールできないもどかしさといった感覚を隠しません。一方で、熊本で出会った新しい光景や人間関係を経て、これまでにはなかった表現の契機が芽生えていることも確かです。

小山田将監は、熊本に移る前、グラフィック・デザイナーとして活動を始めていたオランダで、見知らぬ土地での他者とのコミュニケーションを求めて、スタンプによってその人の内面的な”本質(essence)”を彫り起こしたいと思い立ちます。「Nice to Stamp you」と名付けられたこのシリーズの制作は、まず対面でのインタビューからはじまります。「あなたが信じているものはなんですか?」など、いくつかシンプルな質問を経て、浮かび上がるイメージをノートに書き写します。それは個人的な思考や記憶、感じ方を丁寧に掘り下げることで抽象的なアイデアを具体的なイメージ(像)に移していく作業と言って良いでしょう。2011年から今日までに制作したポートレートは290人分になります。

二人のポートレートには共通して、描かれているモデル(対象)が明確であるにも関わらず、外見的類似性はほとんど認識できません。だからこそ私たちは目の前にいる(描かれる)「誰か」を注意深く観察することになります。目の前に表現された肖像は誰なのか。作者か、見知らぬ他者、あるいは、自分自身かもしれない。もはや人ではなく、どこかの風景、誰かの記憶や意識にも思えてきます。
二人のアーティストによる、具体的でありながら抽象的なポートレートを通じて、固有のものでありながら、一つの場所に垂直的に結びつけられることのない、のびやかな表現をご覧いただければ幸いです。

スケジュール

2024年11月2日(土)〜2024年11月24日(日)

開館情報

時間
11:0019:00
入場料無料
展覧会URLhttps://artistcafe.jp/event/740/
会場Artist Cafe Fukuoka
https://artistcafe.jp/
住所〒810-0043 福岡県福岡市中央区城内2-5
アクセス地下鉄空港線大濠公園駅5番出口より徒歩10分
電話番号080-2481-5997
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