「佐川晃司展 『半面性の樹塊』-1990年を中心に」

ヒノギャラリー
あと7日で開催

アーティスト

佐川晃司
ヒノギャラリーでは2025年1月20日(月)より「佐川晃司展 半面性の樹塊-1990年を中心に」を開催いたします。

今回、展覧会のタイトルにもある『半面性の樹塊』は「菱形」を基本形に、三角形や五角形といった多角形と線、色面により構成された、1990年頃から今日まで30年以上続く佐川のライフワークとも言えるシリーズです。 特に「菱形」というモチーフとの出会いは画期的であったと佐川は振り返ります。最初に「半面性の樹塊」が制作されたのは1989年、佐川が34歳の頃でした。東京藝術大学大学院在学中の1980年代初頭は、ミニマルな色面の絵画を中心に制作していた佐川でしたが、新たな絵画空間の模索と共に、次第に身近な風景の見え方に深い関心を寄せていくようになります。それは当時の佐川が過ごした環境と決して無関係ではないでしょう。

1985年同大学院を満期退学すると、同年より京都精華大学の講師となり、以降は関西に拠点を移し、滋賀県のなだらかな山に囲まれた田園の中にアトリエを構えます。 そうした自然豊かな暮らしの中で、ある夕方、アトリエの周りを歩いていた時、それまで量感を持っていた木がふいに逆光でシルエットとなり佐川の目に菱形に映りました。また、春先には田植え前の水が張られた田んぼを見て、つい先ごろまで耕された茶色い土くれの広がりであったものが、水が張られたとたんに、遠近感は保たれたままに、鏡面のように空を映し、「菱形」のフォルムが立ち上がって見えたと言います。 そうした体験から、視覚的には平面でありながら、木々や空といった風景を深い量感で包み込む「菱形」というフォルムの中に何重ものイリュージョンを畳み込めるのではないか、と佐川は確信しました。

もちろん「菱形」というフォルム自体が重要なのではなく、絵画が物質としての現前性や平面性を保ちながらも、見る者それぞれの身体に対応し、働きかけることこそが重要で、その上で、「菱形」という単純な形の中に広がりと奥行き、量感と深さ、複数の視線の交錯といった様々な要素が曖昧に重なり合いながらも、全体として揺るぎない安定感を感じさせる絵画を描きたい、と佐川は語ります。 丁寧に時間をかけて何層にも重ねられた絵具が、支持体の深奥からにじみ出るように広がりを見せる佐川の絵画を目の前にすると、自然の風景が立ち現れるような感覚を覚え、あたかも画家自身の知覚を追体験しているかのような不思議な感覚にとらわれます。佐川は自身の作品に対して、「具象の“風景画”よりも風景画に近い」と公言しますが、彼の作品は単なるフォーマリズムにとどまらず、抽象であるがゆえに、鑑賞者それぞれの心に眠る原風景を呼び覚ます力を持ち、そうした鑑賞体験からも佐川の試みをうかがい知ることができます。

ヒノギャラリーでは3年振りとなる本展では、佐川の作家活動において、重要な転機となった「菱形」との出会いの最初の出発点である1990年の油彩画作品を中心に展示いたします。

スケジュール

2025年1月20日(月)〜2025年2月8日(土)

開館情報

時間
11:0018:00
休館日
土曜日、日曜日、祝日
入場料無料
展覧会URLhttp://www.hinogallery.com/2025/3499/
会場ヒノギャラリー
http://www.hinogallery.com
住所〒104-0042 東京都中央区入船2-4-3マスダビル 1F
アクセスJR京葉線・東京メトロ日比谷線八丁堀駅A2出口より徒歩3分、東京メトロ有楽町線新富町駅7番出口より徒歩3分
電話番号03-3537-1151
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