本展では昨年発表された商品化店舗付き住宅「TEMPO」にフォーカスし、図面や模型のみならずドローイングや映像、AIコラージュなどの複数のメディアによって湯浅氏の建築が表現されます。幾何学的エレメントが組み合わさった全体像のTEMPOは、積み木のような遊戯性や可愛らしさを感じさせると同時に、クラシカルな印象を併せ持ちます。その背後には、クライアントから与えられたZEH(Net Zero Energy House)の実現という現代的な要請が存在しています。ともすれば技術的・環境的な操作が主題になりそうなところ、湯浅氏はそのことをむしろ契機として、住宅を人の暮らしと地球や宇宙のリズムが響き合う場であると捉え直します。宇宙からの太陽の光、空からの雨、土の中で分解する生物たちは、お互いに無関心でありつつも、建築を介して一日の営みの中に密やかなロマンスを生み出しています。
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