パウロ・デ・カントス(Paulo de Cantos 1892–1979)は、ポルトガルの教育者・アマチュアのタイポグラファで、20世紀初頭の教育改革運動の只中に身を投じ、1920年から1960年にかけて、学習支援のための教科書を多数、独自に出版しました。本の構造にはじまり、言語・音声・視覚が交錯するタイポグラフィと図解を駆使し、合理主義と民俗性、科学と思考、そして言語に対する実験的な姿勢─独自の表記体系PAKやポルトガル語の速記文字の提案など、造形と並行して言語の構造にも介入していきました。 ただ、そうした経緯はともかく、一見して濃厚なレイアウトや、何かくすりとしてしまうような独特で奇妙な造形には、今なお謎めく解せない魅力があります。
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