熊谷直子 「レテに浮かんで」

book obscura
9月23日終了

アーティスト

熊谷直子
写真家・熊谷直子の第二作品集『レテに浮かんで』(TISSUE PAPERS)刊行記念の展示を開催します。

熊谷は商業写真、特にポートレイトにおいて、人物の内面の核を片手で掴み取るような写真表現を模索してきた作家です。 『月刊 二階堂ふみ』『杉咲花ファースト写真集 ユートピア』といったメジャーフィールドの仕事から、大駱駝館、イ・ランといったインディペンデントな表現者たちとの撮影者/被写体という区分を超えた共創、そして友人知人との関わりに至るまで、多岐にわたる人々との「関係」をカメラに収めてきました。

その熊谷が近年の重要な被写体としてきたのが、東日本大震災のあとに出会った宮城県気仙沼の人々と、認知症を患い施設に暮らす母親でした。多くを失いながらも今を強く生きる人々と、生の証である記憶を日々失いながら毎日を「あたらしい生」とともに生きる母。作家はそこに自身の「今」へと流れ込むひとつの河の流れを見出し、第一作品集『赤い河』(TISSUE PAPERS、2017年)を発表しました。

それから7年。コロナ禍を挟む期間に母がこの世を去り、生家が更地になり、友との別れも経験するなどこれまで立脚してきた「関係」そのものが失われ、形を変えていく中で、「忘れたくないから写真を撮っていると思っていた」という作家自身も、少しずつ変わっていきます。

すなわち、悲しみや喪失、生と死をも固定された状態と捉えるのではなく「あたらしい生」——そこに何があり、自分がどうなるのかさえもわからない未来への経由地であると捉えること。失い、忘れていくことの底に残るものがあるとしたら、それは「変容」の先に見える何かへの希望なのかもしれません。「人は忘れ、失っていくばかりなのか」「それでも生きるとはどういうことなのか」という、誰もが避けがたい命題に対する一つの向き合い。作家の新たに到達したその境地を一冊にまとめたのが、待望の新作『レテに浮かんで』です。

喪失のあとで、作家の目は世界をどのように捉えたのか。「そこに何が写っているか」を超えた「固有の目」の置きどころにこそ写真という表現の本質が存在するのだということを存分に伝えてくれる傑作から、どのような展示が生まれるのか。

[関連イベント]
Special Talk Event 「レテに浮かんで」
日時: 9月14日(土)19:30〜21:00
出演: 熊谷直子(写真家)/安東嵩史(TISSUE Inc.)/黒﨑由衣(book obscura店主)
参加費: 無料(店頭観覧は要予約)
場所: book obscura/同店YouTubeチャンネル
URL: 後日公開

スケジュール

開催中

2024年8月29日(木)〜2024年9月23日(月)あと18日

開館情報

時間
12:0019:00
※9月16日、22日、23日は開廊
休館日
火曜日、水曜日

オープニングパーティー 2024年8月30日(金) 18:00 から 20:00 まで

入場料無料
会場book obscura
https://bookobscura.com/
住所〒181-0001 東京都三鷹市井の頭4-21-5 103号
アクセスJR中央線・京王井の頭線吉祥寺駅南口(公園口)より徒歩10分、京王井の頭線井の頭公園駅より徒歩11分
電話番号0422-26-9707
関連画像

各画像をタップすると拡大表示します

0件の投稿

すべて表示

まだコメントはありません