小原真史 「博覧会曼荼羅」

空蓮房
11月13日開始事前予約制

アーティスト

小原真史
1951年にロンドンで世界初の万博が開催され、大成功を収めると、それに続けとばかりに1855年にフランスでもパリ万博が開催され、世界中に広がっていきました。ロンドン万博が「Great Exhibition」であったのに対し、パリ万博は「Exposition Universelle」と名付けられました。「universelle」という言葉には、単に国際的な祭典というだけではなく、地球上に存在する「万物」を集めて体系的に展示するという意味が込められており、来場者は展示物を通じてまだ見ぬ世界を把握しようと努めました。会場には西洋列強諸国の産業製品だけでなく、植民地や非西洋諸国の建築物や工芸品、動植物が一堂に会し、果ては人間や村までもが展示されました。その意味で万博とは、世界をひとところに集めることで、人々に新たな価値や世界認識を与えようとする試みだったと言えます。

後発帝国主義国として船出した日本でも殖産興業推進のため博覧会を開催しようとする動きが生まれ、1877年には内務省が主導して上野公園で第一回内国勧業博覧会が開催されました。内国勧業博覧会は第五回で終わりを迎えますが、その後も様々なテーマの博覧会が日本の地方都市へと伝播していきました。博覧会の開催は、博物館・美術館の建設への機運を高め、世界を集めるという役割は、ミュージアムが担うようになります。上野の国立博物館や吹田の国立民族学博物館には、博覧会の遺産が引き継がれています。

博覧会場に遠隔地の村々をそのまま再現した〈ネイティヴ・ヴィレッジ〉の中には、世界各地の「人種」を序列化したり、植民地宗主国の力や正当性を誇示しようとする意図を持ったものも含まれていましたが、概して来場者のエキゾチシズムを満たすエンターテイメントとして人気を博しました。

遠隔地の空間を切り取って別の場所で再現する役割は、次第に写真や版画、映画のような複製技術にとって代わられ、植民地が独立していく20世紀の半ばには、〈ネイティヴ・ヴィレッジ〉は、博覧会場から姿を消しました。博覧会土産として人気を博した写真や絵葉書などは、世界の複製物のさらなる複製物だと言えるでしょう。これらを通して「博覧会の時代」をご覧ください。

スケジュール

2024年11月13日(水)〜2024年12月6日(金)

事前予約制

開館情報

時間
10:0015:00
休館日
月曜日、火曜日、土曜日、日曜日、祝日
展示替期間は事前予約制
入場料入場料は賽銭
会場空蓮房
http://www.kurenboh.com/jp/top.html
住所〒111-0051 東京都台東区蔵前4-17-14 長応院内
アクセス都営浅草線蔵前駅A3出口より徒歩3分、都営大江戸線蔵前駅A5出口より徒歩5分
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