[画像: 清水裕貴《大連の海岸》2024年]

「MOT アニュアル 2024 こうふくのしま」

東京都現代美術館
12月14日開始

アーティスト

清水裕貴、川田知志、臼井良平、庄司朝美
東京都現代美術館では、現代美術から新たな側面を引き出すグループ展「MOT アニュアル」を継続して開催しています。第20回を数える本展では、清水裕貴、川田知志、臼井良平、庄司朝美の作家4名を、その最新作とともに紹介します。

近年、「今ここに立っている」という身体感覚を持つことがますます困難になりつつあります。通信技術や交通手段の発達により、日々膨大な情報に否応なくさらされ、どこへでも移動しやすくなったことで、その傾向はさらに顕著になっています。こうしたなかで、自分自身の足元が何によって形をなし、どこにつながっているのかをあらためて問う行為は、私たちの身体が置かれる場への気づきを引き出し、進むべき方向を探るひとつの手だてとなるでしょう。

副題にある「しま」は、4名の作家が拠点を置く「日本」の地理的条件に対する再定義を含んでいます。この太平洋北西部の島々を、他の陸地から切り離されて海に浮かぶ「閉じられた地形」ではなく、地殻変動を経て海上に現れた地表の起伏であり、海底では他の大陸や島と地続きに連なる「開かれた地形」として捉え直すことは、水面下での見えざるつながりを確かめるための別の視座を提示します。それは、従来の枠組みや境界を超え、あらゆるものが複雑に相作用する世界を見つめ、深く思いをめぐらせることでもあるのです。

本展の作家の仕事もまた、自身の足元を起点にしながら、より大きな文脈や関係へと開かれています。彼ら/彼女らは多様なアプローチを通じて、現実の世界を視覚的に置き換え、描き出すことにより、身のまわりや自己の多義性や重層性と対峙します。これらの作品は、作者の解釈や意図を超え、見る者がそれぞれの視点や感覚、経験を通して主体的に意味を見出すための装置として働き、それぞれに異なる見かたや感じかたを促します。

日本の社会は、戦後その大半を失ったところから再建を始め、経済発展を根拠とする幸福と繁栄への道を歩み、1990年代以降は低迷と停滞が続いていると言われます。しかしながら、こうしたリニアな語りにおいて、複数の要因が絡み合う対立や葛藤は、しばしば解消されないまま見落されてきました。そこで本展では、身辺の汲みつくせない出来事や状況を個々の視点から見直し、形を与えようとする作家たちとともに、もつれ合う世界の複雑さをいかに引き受けるのかという問いに向き合います。

スケジュール

2024年12月14日(土)〜2025年3月30日(日)

開館情報

時間
10:0018:00
休館日
月曜日
展示室入場は閉館の30分前まで
1月13日・2月24日は開館
12月28日~1月1日・1月14日・2月25日は休館
入場料一般 1300円、大学生・65歳以上 900円、高校生・中学生 500円、小学生以下 無料
展覧会URLhttps://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mot-annual-2024/
会場東京都現代美術館
https://www.mot-art-museum.jp/
住所〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1
アクセス東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩9分、都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩13分、東京メトロ東西線木場駅3番出口より徒歩14分
電話番号050-5541-8600 (ハローダイヤル)
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