長沢楓 + 大上巧真 「マーク・メイキング」

タカ・イシイギャラリー前橋
4月20日終了

アーティスト

長沢楓、大上巧真
タカ・イシイギャラリー 前橋は、3月15日(土)から4月20日(日)まで、長沢楓と大上巧真による2人展「マーク・メイキング」を開催いたします。

長沢楓は1999年高知県生まれ、京都府在住。2022年武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業、2025年に京都芸術大学大学院修士課程芸術専攻油画領域修了。主なグループ展に、「Artifact – Nature」COHJU(京都、2024年)、「SHIBUYA STYLE vol.17」西武渋谷店 美術画廊・オルタナティブスペース(東京、2023年)など。

京都を拠点に活動する長沢は、蚤の市などで見つけた陶磁器や染織物に描かれる、動植物のモチーフを抽出した絵画作品を制作しています。民藝品にみられるこうした図像は職人の手仕事を通じて世代を超えて受け継がれてきたものですが、日本人にとっては日常生活で目にする馴染み深い存在といえるでしょう。長沢の作品では支持体がキャンバスへと置換され——あたかも一羽の鳥が飛び込んできたかのように——それらのイメージは装飾としての役割を喪失し画面上に特異な存在として立ち現れます。描く対象に意味を付与する寓意的表現は西洋美術の歴史を形成してきた特徴の一つですが、長沢の試みはそれとは対比される新たな絵画表現を模索するものといえます。作品の制作過程では、木版を用いた着彩と筆を用いた油彩のプロセスが反復されます。版画の技法を用いることで不均一さが生じた色面や、あえて掠れが生じるように扱われた筆が作り出す線が画面に独自の質感を与え、押しあてた版を離すまで結果が見えない過程など、作家のコントロールから離れた要素が意図的に含まれています。それは一つ一つ形態がわずかに異なる手描きの絵付けや施釉、あるいは焼成の際に偶発的に生じる窯変を取り入れる、民藝品の制作過程と重ね合わせられます。長沢の制作は、無名の人々が紡いできた工芸の要素を取り入れ、矩形のキャンバス上での営みに留まらない、絵画というメディウムの大きな枠組みを捉え直す試みといえるでしょう。

大上巧真は2000年大阪府生まれ、京都を拠点に活動。2023年に京都芸術大学美術工芸学科油画コース卒業、2025年京都芸術大学大学院修士課程芸術専攻油画領域修了。主なグループ展に、「常行三昧 Jogyo Zanmai」A-LAB(兵庫、2024年)、「ウサギ・ハチドリ・ホムンクルス〜新しい地平の作り方〜」MEDIA SHOP(京都、2023年)など。

自身の身体と外界との境界をめぐる感覚を起点に、筆を使わず素手で油絵具を塗る絵画制作を以前行なっていた大上ですが、そこから発展する形で近作ではコラージュを取り入れた抽象絵画と、パフォーマンス的な要素を含めた立体制作の二つでそれぞれの可能性を探求しています。前者について、大上は自身のペインティング作品を「威嚇」という言葉で表現しています。キャンバス上では赤や黄の鮮やかな色彩が共存し、衝突して混じり合うとともに、画面を縦横に貫く線はエネルギーに満ちています。そこに円形に切り取られた石の写真が貼り付けられ、異質な存在として絵画空間に点在しています。観る者に強烈な印象を与えるこうした諸要素は、捕食者から身を守るために生物が作り出す警告色を連想させ、視覚表現が与える精神的な作用、またそれに対する根源的な反応へと私たちの意識を立ち返らせます。色相の異なる複数の絵画が展開されると作品の力強さがより際立ち、その効果は三次元的な体験へと広がっていきます。一方の立体作品は、大上が歯で噛んだり膝頭を押し当てた粘土で成形した石膏から構成されており、身体の直接的な痕跡がインデックスとして残されています。発掘された古代の遺物のようにも見える構造物は、他者の存在が息づく空間に足を踏み入れるような感覚を与えます。自らの身体感覚を探りながら生み出される大上の立体作品は、脆さを孕みながらもその領域を絵画とともに主張し、私たち鑑賞者の身体感覚や、絶え間なく変動する他者との距離について思索へと誘います。

スケジュール

開催中

2025年3月15日(土)〜2025年4月20日(日)あと27日

開館情報

時間
11:0019:00
休館日
月曜日、火曜日、祝日

オープニングパーティー 2025年3月15日(土) 17:00 から 19:00 まで

入場料無料
展覧会URLhttps://www.takaishiigallery.com/jp/archives/34202
会場タカ・イシイギャラリー前橋
https://www.takaishiigallery.com/jp/
住所〒371-0022 群馬県前橋市千代田町5-9-1 まえばしガレリア 1F
アクセス上毛電鉄中央前橋駅より徒歩5分、JR両毛線前橋駅北口より徒歩15分
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