「エブリデイ・ソングス」

ANAインターコンチネンタルホテル東京
4月20日終了

アーティスト

須永有、升谷真木子、中嶋浩子、笠井麻衣子、三井淑香
ARTPLAT@Bwac JAPANは須永有、升谷真木子、中嶋浩子、笠井麻衣子、三井淑香による5人展「エブリデイ・ソングス」を開催いたします。

本展は本会場で自然発生的に始まったグループ展の第二弾である。第一回展「重なる、わたしと、わたしたち」は昨年末に開催された。5名の作家は画風も技法も異なるが、あえて共通点を見出すならば、彼女らの作品はそれぞれの日常世界と接続している。

須永有は筆や松明など、「描く」動作に関連するモチーフを大胆な筆致で描いてきた。今回の新作《Wave Hands》は、彼女が育児をする中で発見した、手を使った根源的なコミュニケーションをモチーフとしている。対象的に《Wake Up》で描かれているのは水中から起き上がる「手」である。親を求める手と水から助けを求める手、他者を求めるという意味では共通しつつも、描かれた手は違った感情を示す。

升谷真木子は、日常の中で記憶に残った事物を色鉛筆を用い、描き出す。それはまるで升谷の中で一度記憶されたものが、紙に転写され、生まれ直しているかのようだ。温かな色調の中にも、サボテンとグローブが並んでいたり、作家の遊び心がある。それらの愉快な並列は、私たちの生活や一日が、様々な要素や時間の混ざり合いで成り立っていることを思い出させてくれる。

中嶋浩子の作品は数学の世界から着想を得ている。中嶋は、数学が視覚情報とは別の仕方で捉えた世界に、色を与え、作品世界を成立させる探求を重ねてきた。今回の新作は終わりなく拡張し続ける数理モデルをキャンバスに落とし込んだものである。私たちの時間は有限で、過ぎた時間は戻ることはない。一方、数学という非有機的な言語は、拡張し続ける世界をシュミレートすることができる。視点を変えることによって、私たちは「永遠」の片鱗を見ることができるのだ。

笠井麻衣子の作品には眠る少女と動物たちが頻出する。彼らの無防備な表情とそれを包み込む幻想的な光に、鑑賞者は自身の子ども時代を投影することができるだろう。インナーチャイルドという言葉があるように、幼少期の未解決の感情はその後の人生に影響し、またそれを理解することが癒しをもたらすとされている。笠井の作品群は誰しもがもつ、過去の子ども時代に向けられた、他者からの暖かな眼差しに手触りを与え、それらの記憶を穏やかな眠りへと導く。

三井淑香の作中には、ジューシーなモチーフが意思を持って動いているかのように描かれている。ユニコーン、宝石、貴婦人、鳥‥。三井の作品を見ることは、カラフルな王国を覗き見るかのようだ。私たちは作品を一目見た時から、モチーフ同士の、作品全体からの、息遣いと、画面に流れる明快なリズムに身を委ねることができる。

日々の生活を出発点とする作品群は私にとって、歌のように思えた。メロディーや歌詞には少なからず作者や歌い手の感情が込められ、それを私たちがなぞり歌うことで、感情や人生を上書きし、記憶することができる。「エブリデイ・ソングス」と題した本展が、作品と対峙する者の、日常の一節となることを願っている。

会場: ホテル内1、2、3階のアートギャラリー

スケジュール

開催中

2025年1月21日(火)〜2025年4月20日(日)あと23日

開館情報

時間
0:0024:00
入場料無料
会場ANAインターコンチネンタルホテル東京
http://anaintercontinental-tokyo.jp/
住所〒107-0052 東京都港区赤坂1-12-33
アクセス東京メトロ南北線・銀座線溜池山王駅13番出口より徒歩1分、東京メトロ日比谷線虎ノ門ヒルズ駅A2出口より徒歩12分、東京メトロ千代田線赤坂駅5b番出口より徒歩16分
電話番号03-3505-1111
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