「空の発見」

渋谷区立松濤美術館
9月14日開始

アーティスト

香月泰男、松川龍椿作、前北斎改為一、ジョン・コンスタブル、武内鶴之助、萬鉄五郎、岸田劉生、ホンマタカシ、阪本トクロウ
私たちが毎日見ている「空」。現代では誰もが共通のイメージを描けるあたりまえの存在に思われます。ところが日本の美術のなかでは、近世になるまで「空」を現実的に描こうとする意識は希薄でした。障屛画では黄金地や金雲などがこの空間を占め、水墨画では余白のような位置づけである時もあります。もとより「空」(そら)は(くう)とも読めるように、神の世界である「天」でも、人間のいる「地」でもない、曖昧な場所でした。

近世になると、西洋絵画などの影響をうけ、洋風画や泥絵、浮世絵などに青空が広がりだします。なかでも江戸時代、たびたび青空を描いた画家の司馬江漢(1747-1818年)が、蘭学から地動説を学び、科学的な空間認識を持っていたことは、「空」への意識の変化を考えるうえで示唆的です。一方で、浮世絵のなかの典型的な空の表現“一文字ぼかし”のように、その表現は形式的、概念的なものであることもありました。

明治以降、本格的な西洋画教育や、科学的な気象観測の導入をうけ、刻々と変化する雲や陽光を写しとろうとする画家たちが登場します。ところが次世代には、表現主義やシュールレアリスムなどの新潮流の影響のなか、自らの心象をこの空間に托すように多様で個性的な「空」を描く画家たちが続くのです。

そもそも、私たちの視点はふだん地上に向けられ、絵の中で「空」が主役となることは稀です。地上で震災や戦災が起こり、人間の活動がなぎ払われたとき、廃墟上に広がる空、戦地で見上げた空などが、突如重い存在感を持ち出します。目の前にありつつも意識されなかった空間が大きく浮かびあがる様は、認知の不確かさを物語ります。

現代、かつては従属的であった「空」を中心に据えることで、表現に活路を見出すアーティストたちも現れました。見えているけど、見えていない。本展は、こうした「空」の表現の変遷を通じて、そこに映し込まれる私たちの意識の揺らぎを浮かび上がらせようとするものです。

スケジュール

2024年9月14日(土)〜2024年11月10日(日)

開館情報

時間
10:0018:00
休館日
月曜日
9月16日、23日、10月14日、11月4日は開館
9月17日、24日、10月15日、11月5日は休館
入場料一般 1000円、大学生 800円、高校生・60歳以上 500円、中学生・小学生 100円、障がい者手帳提示と付き添い1名 無料
展覧会URLhttps://shoto-museum.jp/exhibitions/205sora/
会場渋谷区立松濤美術館
http://www.shoto-museum.jp/
住所〒150-0046 東京都渋谷区松濤2-14-14
アクセス京王井の頭線神泉駅西口より徒歩5分、JR渋谷駅ハチ公口より徒歩15分
電話番号03-3465-9421
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