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ダニエル・ヌニェス 「IN BLOOM」

AKIINOUE
終了しました

アーティスト

ダニエル・ヌニェス
AKIINOUEでは5月1日より、ダニエル・ヌニェスの個展「IN BLOOM」を開催いたします。

ダニエル・ヌニェスは、1988年にスペインのマドリードに生まれ、現在もマドリードにスタジオを構えるアーティストです。同地の ESDIP およびCES スクールで写真、ビデオ・デザイン、イラストレーションの教育を受けたのち、ビジュアルアートを学びました。ヌニェスの実践の核心には、「都市」とアートとの関係性と、長い歴史を有する「絵画」というメディウムへの、鋭敏な対話意識があります。彼にとって、絵画制作は、自身を取り巻く環境や日常生活のリズムといった時空間を、一つの画面へ凝縮し、定着させる行為であると言えます。

本展では、ヌニェスの新作絵画5作品と、ペーパー・ドローイングによるインスタレーションを発表します。キャンバスに描かれるのは、走る、テニスをする、自転車に乗るといった、親しみやすい動作のさなかにある人物たちです。彼らの虚ろな視線やぎこちない身体の動きは、情報が飽和した現代における、注意力の分散や、身体と認知の断絶といった精神状態をうつし出しているかのようです。ヌニェスの作品は、ポジティブなものからネガティブなものまで、私たちのさまざまな情動を、ありのままの脆弱さと独特のユーモアをもって描き出します。それは、内面的な感覚を麻痺させるのではなく、内省的な繋がりを促しています。

一方で、人物の周囲は、キャンバスの地をあえて残した余白となっています。こうした視覚効果は、不安定さの中にあっても確かに存在する感情や身体感覚の一つひとつを、「人間の本質として肯定的に受け止め、それが他者との分断を超えてつながりを築く契機となる」という、ヌニェスの姿勢を表しています。
また、彼はキャンバス上の余白を「過剰な情報環境に対する、視覚的な間(ま)」と呼び、それらは描かれた人物たちが呼吸できる「酸素」を与えていると述べます。絵画空間と現実空間を、たがいに呼応し合うものとして捉えるアプローチは、イメージが氾濫する現代において、ヌニェスが見出す絵画の可能性を示唆しています。

ヌニェスは自身の制作過程を「ダンス」に喩えます。自身が体験した感情が、身体感覚を通じで直接的かつ即興的に画面へ反映されるような実践であり、本展の焦点である私たちの感情との関係性を象徴するものでもあります。展覧会タイトルである「IN BLOOM」は、本展が開催される春という季節と深く結びついています。ヌニェスは春がもたらすみずみずしさ、生命力、光、色彩、エネルギーといった要素とともに、感情を通じて開花するプロセスを見つめ、次のように語ります。

私たちは日々、苛立ちや失敗、アレルギー、活力、熱意など、さまざまな感情の移ろいを経験しています。そうした感情のプロセスは、開花し、生まれ変わるために不可欠なものです。植物や花が成長する過程に痛みが伴うように、私たちの変化もまた、時に不安定さを孕みながらも、やがて「咲く」ことへとつながっていきます。

マドリードから東京へ──異なる都市環境を横断して展開される本展は、絵画という形式を通じて、感情や精神性、身体、都市のリズムを繊細に結び直すヌニェスの探求の現在地を示すものです。この機会に、ぜひご高覧ください。

スケジュール

2025年5月1日(木)〜2025年5月31日(土)

開館情報

時間
11:0019:00
休館日
日曜日、月曜日、祝日

オープニングパーティー 2025年5月1日(木) 17:00 から 20:00 まで

入場料無料
展覧会URLhttps://akiinoue.com/ja/exhibitions/daniel-nunez-in-bloom
会場AKIINOUE
https://akiinoue.com/ja
住所〒150-0034 東京都渋谷区代官山町2-3 THE ROWS 2F
アクセス東急東横線代官山駅北口より徒歩8分、JR渋谷駅新南口より徒歩10分
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