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「The Quartet」

ANAインターコンチネンタルホテル東京
終了しました

アーティスト

坂内拓、アーサー・フアン、小林雅子、玉井祥子
「紙の作品はパーソナルで個性的だから面白い」。ある著名なアートコレクター夫妻の言葉です。紙は日常的かつ直接的な素材であるだけに、作品と鑑賞者との距離が小さく感じるのかもしれません。それを証明するかの如く、アンゼルム・キーファーを始め、巨匠の彫刻が無造作に並べられた彼らの倉庫の壁にはペインティングではなく、ドローイング作品が美しく飾ってありました。ややもすれば作品の下描きというイメージがある紙作品ですが、今回紹介する4人の作家は、紙が持つ繊細ながら多様な表現の可能性を教えてくれます。

坂内拓さんは国内の有名企業CM、雑誌、音楽ジャケット、海外でもThe New Yorker誌等で活躍するイラストレーターです。余韻を残したどこか懐かしさを感じさせる彼の作品は、ミニマリズムであると同時に米国西海岸のカラーフィールドの作品を彷彿とさせます。自身の中ではイラストレーションとアート作品に対する姿勢に大きな違いはないそうですが、後者では内面にある情景をより自由に表現するといいます。展示の場所にちなみ、今回は飛行機の旅をイメージしたコラージュを発表します。

自分の体験をまずは分析してから表現する作家が多い中、脳科学者でありコンセプチュアルアーキビストのアーサー・フアンさんの手法はそれとは真逆です。日常の出来事や読んでいる本を顧みながら、あるいは音楽を聴きながら、彼は自分の感覚を頼りに紙の上で自然に手を動かします。そうして完成した何百枚ものドローイングに残された「記号」が何を意味するのかと分類分析をするのです。「日々ドローイング」は膨大で美しいリサーチベースドアートだと思います。

過去と現在の関連性を追求する彫刻家の小林雅子さんにとって、幼い頃から本は切り離せない存在でした。物語の世界を旅することは別の人生を擬似体験すること。2013年以来、大好きな本を題材にその擬似体験や情緒を彫刻し続けてきました。今回彼女が選んだ本は、ワクワクしながら読んだプルースト「失われた時を求めて」やジュール・ヴェルヌ「海底二万里」等です。自由に海外に行けなくなった今の時代だからこそ、別世界を再現したいと彼女は言います。

元々は藝大の音楽科を卒業した玉井祥子さんのテーマは「情動の幾何学化」です。意識や触感の一瞬のスナップショットを捉え、限りなく皮膚感覚に近い形で具現化することを試みています。高知県の手漉き和紙の土佐典具貼紙上の繊維をペン先で表面に引っ張ると同時に、その上に墨や顔料で描画するという独特な方法で抽象表現を行なっています。彼女にとっての皮膚感覚というのは、和紙を形成する木の繊維の感触なのかもしれません。

スケジュール

2022年2月22日(火)〜2022年5月8日(日)

開館情報

休館日
イベントにより異なる
入場料無料
会場ANAインターコンチネンタルホテル東京
http://anaintercontinental-tokyo.jp/
住所〒107-0052 東京都港区赤坂1-12-33
アクセス東京メトロ南北線・銀座線溜池山王駅13番出口より徒歩1分、東京メトロ日比谷線虎ノ門ヒルズ駅A2出口より徒歩12分、東京メトロ千代田線赤坂駅5b番出口より徒歩16分
電話番号03-3505-1111
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