公開日:2015年6月26日

日本で最もラディカルな映画監督・園子温の個展が開催

【Art Beat News】17年ぶりの自主制作映画《ひそひそ星》のインスタレーションバージョンも公開

映画監督 園子温の個展が、Chim↑PomとGarterによる高円寺の「キタコレビル」にて6月26日から開催される。
園子温は、現在日本で最もラディカルな映画監督として知られ、《ヒミズ》や《愛のむきだし》など国際的な映画祭の常連としても活躍している。しかしそのキャリアは「ジーパンを履いた朔太郎」と称された詩人として始まり、絵本の出版、パフォーマンス集団「東京ガガガ」の主催、水道橋博士とのお笑いデュオなど、ジャンルの壁を傍若無人に渡り歩くものだ。

今回の個展の内容は、90年代初頭の東京の路上をゲリラでジャックし続けた伝説的パフォーマンス集団「東京ガガガ」のアーカイブ、新作ハプニングアート「ハチ公プロジェクト」、そして来年公開予定の17年ぶりの自主制作映画《ひそひそ星》のインスタレーションバージョンの3つの構成となっている。

「ひそひそ星」の会話はすべてひそひそと交わされる。
本展の構成の一部となっている映画《ひそひそ星》は、タイトル通り、「声高に話せないところ」を描いた作品。園が1990年に書き下ろし、2015年に制作されたSFモノだ。セリフの数は最低限に絞られており、それゆえに蛇口をひねる音や蛍光灯の描写など極めて日常的なシーンが丁寧に描かれる、静かでディープな映画となっている。

作中で主人公が降り立つ星々は、居住が制限されている福島の被災地で撮影され、多くの登場人物も避難中の人々によって演じられた。本展で公開されるのは、そのシーンに絞って再構成された映像インスタレーションだ。

また、《ひそひそ星》を書き下ろしたのちの93年、園は大人しくなりつつあった日本社会に反抗するかのように「東京ガガガ」を結成し、隔週で繁華街のストリートジャックを繰り返した。本展では「毎回逮捕されていた」というほどの熱量を持った2年間の活動のアーカイブを見ることができる。
「ハチ公プロジェクト」は、人を無意識のうちに集合させる「待ち合わせ場所」としてのアイコン「ハチ公」に着目し、その複製によって、待ち合わせ場所を増殖する試みだ。その最初の設置場所は、ひそひそ星でも重要なシーンとなる、福島の居住制限区域となった。「日常」を逸した、ラディカルな視点から映し出された「日本」を見に行ってみてはどうだろうか。

■園子温展「ひそひそ星」
会期:2015年6月26日 ~ 7月26日
会場:東京都杉並区高円寺北3-4-13 キタコレビル内 アーティスト・ラン・ギャラリー「Garter」
開館時間:15:00 ~ 20:00
休廊日:水曜
入場料:500円
ウェブサイト:http://chimpom.jp/artist-run-space-jp.html

執筆:赤江龍介
編集協力:岡徳之

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