次世代のデザインエンジニアを表彰する国際デザインエンジニアリングアワード「ジェームズ ダイソン アワード 2014」が行われ、筑波大学在学中の江口洋丞氏と清谷勇亮氏が開発した、直立姿勢での移動と起立・着席動作を支援する機器「Qolo」が国際準優秀賞を受賞した。
Qoloは、足の不自由な人が、椅子から立ち上がる、歩いて移動する、椅子に座る、という日常生活の基本的な動作を取り戻すために開発されたもので、立つ/座る動作を助ける部分、そして立ったまま移動することを助ける部分から構成される。
主に扉の開閉補助に用いられるガススプリングを使って足の関節にかかる力を相殺することにより、上半身を前に傾けることによって立ち上がり、後ろへ傾けることにより座る動作が可能なシステムを実現。また、歩行中に無意識に進行方向へ体を傾ける人の動きを検出して移動の操作へ応用するシステムを構築した。胴体を前に傾けることで前進し、進行方向へ胴体を捻ることで思い通りに進路を変えることができる。なお、機器は一切の電源を必要としない。
従来は、立つ/座る動作を助けるためには大きな力が必要なため、モーターを用いてこの機能を実現しようとすると重くなり、また高価になってしまっていた。さらに動作を完全に支援することによって、使う人が自らの残存運動機能を活用する機会を逃してしまうという課題もあった。江口氏と清谷氏は、人の上半身が体重の多くを占め、上半身を前後へ傾けることで重心位置が変化することに着目したという。
「Qolo」の紹介ムービー
本アワードには今年、18ヶ国から600を越えるエントリーがあった。日本人の受賞は、昨年に続き2年連続となる。国際最優秀賞はイギリス人のジェームズ・ロバーツ氏による安価な保育器「MOM」に贈られた。
「ジェームズ ダイソン アワード 2014」公式ウェブサイト
執筆:岡徳之(Noriyuki Oka Tokyo)