希代のアニメーション監督、森本晃司をご存知だろうか。
過去に映画『AKIRA』(1988)の作画監督補を務め、かの大友克洋や押井守たちから絶大な支持を受けるアニメイターとして活躍した後、超気鋭のクリエイター集団「STUDIO4℃」を共同設立。以来20年間、『鉄コン筋クリート』(1999)や『マインドゲーム』(2004)などの最高傑作を世に送り出してきた。
森本個人の代表作としては、今なお伝説として残るKEN ISHIIのPV『EXTRA』(1996)、短編アニメーション『アニマトリックスービヨンド』『次元爆弾』などででその突出した世界観を構築している。アジアの混沌とした都市空間、音楽(森本は生粋のテクノファンでも知られる)とともに突き抜ける快楽的な疾走感など、他に追従を許さない唯一無二の森本ワールドで国内外から絶大な評価を受けている。
そんな森本が、この度劇作家兼演出家の保坂萌(めぐみ)とタッグを組み、まったく新しい演劇作品に着手するという。それが、12月新宿でお披露目となる演劇作品『羊人間012』だ。ひとりの人間があるとき11人に分裂し、それぞれの人生を体験するという異色の物語。今回、森本初となる実写映像と生身の役者による演劇を融合させ、不思議な物語世界を作り上げる。
また、開演前にはDJを招き、会場の小劇場をBARのような空間に変容させるという。お酒を飲んでいるうちに、いつの間にか演劇が始まっていることを観客は知らされる。現実のタイムラインと地続きの場所で、物語の世界がパラレルに交錯する。
今回は森本の実写映像というだけでも興味津々だが、それが舞台空間に投影されるときに何が起こるのだろうか? まだ誰も見たことがない世界へと誘ってくれることは間違いないだろう。
■公演情報
会期: 2013年12月7日 ~ 12月16日(全15公演)
会場: 新宿サンモールスタジオ(新宿区新宿1-19-10 サンモール第3M−B1)
料金: 全席自由5,500円(税込)
公式ウェブサイト
Text: Arina Tsukada