公開日:2013年11月28日

日本最大のパフォーマンスの祭典、フェスティバル/トーキョー13(F/T13)開催中!

【Art Beat News】テーマ「物語を旅する」を受け、3.11後の社会に向けた新たな物語が紡がれる。

毎秋、東京をにぎわせる演劇・パフォーマンスの祭典フェスティバル/トーキョー13(F/T13)。第6回目を迎える今年のプログラムも、既に大きな盛り上がりを見せている。

今年のテーマは「物語を旅する」。
思想家ジャン=フランソワ・リオタールの提唱による「大きな物語の終焉」から30年経った現在、果たして現代の私たちにとっての「物語」は何を意味し、そしていかなる効力をもつのだろうか?
劇的なメディア環境の変化に従って、物語自体の生成と消費のありようは変化し続けている。そして3.11という未曾有の災害による、これまでの通念を支えてきた社会構造やメディアのほころびが露になった日本において、演劇というメディアが何を問いかけるのか。

この問いに挑むべく、様々な劇作家や演出家、パフォーマーたちが世界中から集結する。つい先日の公演で大絶賛を集めた美術家の小沢剛は、昨年も連続上映されたエルフリーデ・イェリネクによる3.11フクシマ後の世界を描いた短編戯曲『光のない。』から、戯曲の言葉を視覚的に表現するインスタレーションを披露。美術家の視点をもった大胆なアプローチによって、各方面で大きな話題となった。

F/Tの常連であり、毎年注目を集める演出家・高山明引き入るPort Bは、昨年のツアーパフォーマンス型作品に続いて、今年はアジア留学生たちの痕跡を辿る「旅」の体験を提案。参加者はガイドブックと携帯ラジオを片手に、エリア周辺の公共スペースを思い思いに歩く。ここでのキーワードは「旅」と「翻訳」。実際にアジア留学生の声を如実に反映してつくられた本作では、まだ知らない「もうひとつの東京」を知ることになるかもしれない。

また、今年からは観客がさらに物語へ入り込む仕掛けとして、一般参加型の作品も複数展開される。
コンドルズの近藤良平、□□□(クチロロ)の三浦康嗣らによる『F/Tモブ・スペシャル』は、期間中の毎週末に池袋エリア周辺で開催。公共空間で突如大勢のひとが同じ行動に出る「モブ」のムーブメントを受け継ぎ、クリエイターたちの仕掛けによるひと味違ったイベントが好評を博している。

リミニ・プロトコル作による『100%トーキョー』も注目だ。こちらは開催前に募集された100人の一般出演者たちには、一切のリハーサルを行なわぬまま、その場で各自の思考や経験を語らせるもの。

本公演のために特別編成された楽団「焚火」のメンバーも豪華だ。

Takuji(歌、ギター、キーボード、大正琴、アコーディオン)
木津茂理(歌、和太鼓、三味線)
大島保克(歌、三線)
アン・サリー(歌)
世武裕子(ピアノ)
小林眞樹(ベース)
千住宗臣(ドラム)
塩谷博之(ソプラノサックス、クラリネット)

いわば100人の市民への「ライブ意識調査」ともいえる本作からは、どんな「トーキョー」が見えてくるのだろうか。

いずれも期待値の高い作品が一堂に介するF/T13。会期も残すところあとわずかだが、この貴重な機会をお見逃しなく。

■開催概要
フェスティバル/トーキョー13 (第6回フェスティバル/トーキョー)
会期:2013年11月9日(土)〜12月8日(日)
会場:東京芸術劇場、あうるすぽっと、にしすがも創造舎、シアターグリーン、アサヒ・アートスクエア ほか
プログラム:F/T 主催プログラム 15演目、1企画。F/T 公募プログラム 9演目。F/T オープン・プログラム 4プログラム。F/T 連携プログラム 6プログラム。

Text: Arina Tsukada

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