アートコレクターの夫婦を描いたドキュメンタリー映画『ハーブ&ドロシー』の続編『ハーブ&ドロシー50×50』(原題)が2013年春に劇場公開を予定している。現在製作中の本作は、クラウドファンディングプラットフォーム「モーションギャラリー」で資金集めを行っている。目標金額は、1000万円。11月25日時点で、179名から250万円以上が集まっている。

前作『ハーブ&ドロシー』は、郵便局員と図書館勤めの夫婦が、つつましい給料からアート作品を買い集め、やがて世界屈指の現代アートのコレクションになり、最後は全てをアメリカの国立美術館に寄贈するまでを記録に収めた作品。
続編では、この夫婦が50作品を一括りとして、全米50州の各美術館に、合計2500点を寄贈するという前代未聞のスケールのプロジェクト「ドロシー&ハーバート・ボーゲル・コレクション:50作品を50州に(50×50)」を描き、観たものに「現代アートとは何か。私たちの住む社会にアートは必要なのか。アートを、文化を支援し、後世に残すためには何が必要なのか」を問いかけるという。
資金援助はワンコインから可能で、「500円の支援でコレクター限定のUPDATEを共有」、「3000円の支援でさらに映画公式サイトでのクレジット掲載・映画前売り券2枚」、「5000円の支援でさらにオリジナルTシャツ1枚」の特典がある。ちなみに100万円の支援(1名限定)をすると、さらに「映画DVD1枚、前作「ハーブ&ドロシー」DVD15枚、映画日本版エンドロールにクレジット掲載(最上位)、特製スケッチブック1冊(アーティストサイン入り)、サイン入りポスター1枚、ジャパンプレミア&アフターパーティにペアで招待、スペシャル食事会にペアで招待、ティーチイン付プライベートスクリーニング1回」が提供される。
援助された資金は、夫のハーブ氏が亡くなって追加撮影などにより発生した製作費、日本での公開における宣伝・配給費用、ドロシー氏来日のための費用に充てられる。もし目標に達しない場合でも、集まった金額は費用に充当され、特典も履行されるという。
監督の佐々木芽生氏は「日本では、映画製作のための資金的援助のシステムはありますが、『宣伝&配給』への援助は皆無です。しかし映画とは、完成さえすればいいのではなく、肝心なのは、完成した映画を多くの人に見てもらうことです。」「世界的な景気低迷が続く今、公共、民間を問わず、真っ先に予算カットされるのが文化プログラムです。アーティストが、活動を続けていくことがとても困難になっています。でも、この大変な時代だからこそ、私たちに生きる力を与えてくれるのが、表現者達の発信ではないでしょうか。」と呼びかける。資金集めの期限まで約80日だ。
■関連ウェブサイト
『ハーブ&ドロシー』続編を、世界に先駆けて日本で劇場公開!実現のためのご支援をお願い致します – MotionGallery:クラウドファンディング
執筆:岡徳之(tadashiku)