公開日:2009年6月10日

再生されるモニュメントたち – 西野達インタビューPart1

現在アラタニウラノにて「バレたらどうする」展を好評開催中

西野達は、1987年よりドイツに在住し現在ヨーロッパを中心に活動し、世界中で公共空間を中心に大型プロジェクトを行っています。街のモニュメントや街灯など日常生活の中にある公共物を取り囲みリビングルームを建築するような彼の代表的なスタイルの作品は、パブリックなものをプライベートに変容させることで日常的な観念を壊し、鑑賞者に強烈な刺激を与えます。

この度、新富町のARATANIURANOで開催される「バレたらどうする」展を直前に控えた西野氏を訪問しました。
西野達「バレたらどうする」
 exhibition view at Arataniurano, Tokyo (2009)ギャラリーで展示されている作品についてですが、天井からぶら下がっている、足場のような作品について説明していただけますか?

このランプの作品は、ギャラリーの天井に元々あった照明を1メートルぐらい下に降ろして宙吊りにしたもの。

普段見慣れないものを主役に据えることでそれの違った見方が生まれる、あるいは普段と違った見せ方をすることでそれの別の面を見せる。俺の多くの作品はこのコンセプトが大きく関わっているよ。

アイデアは前からあったけど、アラタニウラノの小さめのスペースと天井灯の占める割合がこの作品を実現するためにちょうど良いバランスを持っていたんだ。

地震が起こった時の崩壊する瞬間みたいな感じですね。木製の支えは全部ご自身で作ったのですか?

これは友達3人に手伝ってもらって作ったんだけど、電気関係の素人仕事は危ないから、それだけは業者さんに頼んだよ。

西野達 「バレたらどうする」exhibition view at Arataniurano, Tokyo (2009)
西野達 「バレたらどうする」exhibition view at Arataniurano, Tokyo (2009)
Courtesy of Arataniurano
西野達《豆腐の仏陀と醤油の後光ー極楽浄土》 (2009)
h164 x w120 cm, C print

それで、この写真に写っている噴水みたいなものは?

豆腐の仏像と、醤油の後光。

今まで制作された作品とはスケール感が違うというか、まるで個人のプライベートスペースの中に噴水のようなプチモニュメントが運ばれてきたような気がします。

あぁ、確かにそうかも。これは自分で小さいモニュメントを作ったというわけか。普段町のモニュメントを使うことが多いので、作るほうに興味が移ってきたのかな?
実際のスケールは今までの作品に比べて小さいけれど、俺はこの作品が大好きだよ。

大金をかけた巨大なプロジェクトにも匹敵するパワーは十分あると思ってる。なんたって極楽浄土という小宇宙を見せようとしているのだからね。良い作家は制作費に関係なく良い作品を作れるものだと思っているから、自己満足してるよ。

Part2につづく

ダリル・ジングウェン・ウィー

ダリル・ジングウェン・ウィー

1981年シンガポール生まれ。2006年ハーバード大学仏文学学部卒業後、東京に移住。主にアート、建築及びデザインをテーマに執筆者、翻訳者として活躍中。