一室では、チャップリンの映画『独裁者』を引用した無音の16ミリ映像による作品(ガブリエル・レスター《A Man of Action Returns》)がディスプレイに映されている。無言の手話となったメッセージを読み取ることは難しいが、画面の中の人物が淡々とアクションを続ける姿にはどこか引きつけられるものがある。そうしていると、背後ではオープンリールのテープレコーダーからマッチを擦る音が聞こえてくる(ジョーダン・ウォルフソン《Day》)。どちらの作品も、レトロな質感を用いながら我々の想像力を刺激する。別室では、ピアノの音に連動してたくさんの電球が点滅する派手な作品(ガブリエル・レスター《Music for Riots and Fights》)の傍らで、シンプルなドローイング作品と映像作品(ジョーダン・ウォルフソン)がひそやかに展開されている。
しっかりと4つに組んだ2人展もいいが、それぞれの個性を発揮しつつも、互いに必要以上に侵食することなく、絶妙のバランスで影響しあっている展示は気持ちがいい。私は恥ずかしながらピアノの「連弾」を実際に見たことはないけれども、キャプションに添えられたクレジットがCurated by Yukie Kamiyaではなく、Conducted by Yukie Kamiyaとなっていたのを見て、なるほどこのようなものなのかも知れないと思わせられる内容であった。
Interviews:Interview with Yukie Kamiya(English)
Interviews:Interview with Jordan Wolfson(English)
Makoto Hashimoto
Makoto Hashimoto