カスヤの森現代美術館オットー・ケスターは現在までに500名を超える日本人が学んだ、ドイツの名門デュッセルドルフ美術学校でマタレー、ケスター、ボイスと連なる名教授の一人で、今日のドイツ美術を代表するリヒター、ポルケにも影響を与えた銅版画家です。1962年以降は完全にその芸術活動を停止し、1990年に没するまでその沈黙を続けました。
小説家カフカの代表作「変身」が初版された1927年に挿絵を制作し、その作品世界を初めてビジュアル化したオットー・ケスターの作品は、母国ドイツで高い評価を受けているにも拘わらず、日本では一度も発表されたことがありません。
今展では、1962年迄のケスターの内面的で宗教的精神に裏打ちされた代表的銅版画作品、約80点を展示いたします。その敬虔な姿勢は社会風俗に安易に迎合する現在のアートに対し、今もなお芸術の本道を示す指標であり続けています。
堀典子はデュッセルドルフ美術学校の初の日本人学生として、1959年から64年まで師オットー・ケスターのもとで美術の研鑽を積み、画家としての礎を築き、この人生の一時期に遭遇したヨーロッパを現在も「記憶の母胎」として、たおやかな内面性を秘めた静物・風景画を制作し続けています。
やはり日本未発表で、これからが期待されるマルティン・ファウゼルは、80年代にデュッセルドルフ美術学校でケスターの弟子に絵画を学び、その深い精神性を備えた抽象画にはケスターの後継者としての資質が流れています。
今回、オットー・ケスターという巨星とその光のもとに集まった堀典子、マルティン・ファウゼル、それぞれの作品世界が、絵画が再注目されている今日のアートシーンでどのような輝きを見せるのか、とても興味深い展覧会と言えます。
ギャラリー・トーク 8月3日(日) 14:00~
堀典子、ゲスト: クリスティーネ・ファウゼル
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