表参道画廊今年はラッカーペイントのメーカーであります、株式会社カンペハピオさんのご協力によりラッカー製品のご提供を頂きました。参加作家の衛藤文俊は、アメリカンポップンアートが現代を写す鏡として描き出したように自称ジャパニーズポップンアートを「ポップンアート」というシリーズ作品として発表してきました。情報が氾濫する現代の、その表層的な情報提供や報道の仕方にも疑問を持ち、現代のカロリーオーバーなモニュメントとして制作を続けています。
今回提供されるラッカースプレーは、ホームセンター等で一般向けに販売されているもので、主に、日曜大工やグラフィティ(落書き)として使用されています。商品の性質上、多くの人に好まれるポピュラーな色合いを揃えており、均一な画面を作りやすいなどの特長があります。この性質は個人の技術力をカバーし、単調な表面を担保するという反面、無個性な画面を提供するといえます。今回、制作意図の上で極力個体差を無くし、浮き出される現代を表出させるのに最適な色材であり、大量消費・大量生産の象徴として採用させていただきました。しかしながら、油絵具やアクリル絵具やエアブラシなどでは作れない画面の均一さや厚みなどの表現に画材としてのもう一つ別な側面を発見できました。
作家の生まれ育った湘南・藤沢は、東京のベッドタウンとして発展していき、幼い頃遊んだ空き地は時代とともに次々と建物で埋まってゆき、見渡す限り庭付きの一戸建て住宅が建ち並びます。現代的でオシャレなデザインの新築住居が建ち並んだ結果、同じ外観で外壁の色だけが違う家が反復され、そこはまるで人が住んでいないモデルハウスのような、空虚で無機的な街並みに変化していきます。そんな街並みを写真に収め、ラッカー作品へと変換することで、風景のもつ相反する二重性を、そのままフラットな画面へと転化させていきます。作家自身の原風景と現代性を融合した作品を制作することで、問題を個人から社会へ、社会から個人へと還元していきます。
[画像:「モデルハウス藤沢」(2007) 56.0×80.0cm、パネル キャンパスラッカー]
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