ゼンシ1979年広島県生まれの多田友充は名古屋造形芸術大学大学院を修了後、本年度CCA北九州リサーチプログラムを修了したばかりの注目の若手作家です。光沢のあるエナメルやペンキで描くペインティング、走り描きのようなドローイングにおいて表現される多田の作品の多くは、首を吊った人物や風景画といった少し毒々しい雰囲気を持つものですが、インスタレーションや小さな立体作品までをもこなす多田の幅広い視点と作風は、いつも自由奔放で好奇心と生気に満ち溢れています。
これまで多田の描く世界には、「居場所」という概念がよく登場しています。「最後の居場所」というシリーズにおいては大きく燃え上がっている家を描いたものや、絵の具の層に覆い隠された一軒の家や連続してつながっている家などを表現してきました。生まれそして死ぬために生きる、この最大の矛盾に至るまでの時間を過ごす場所や空間を意味する家を自己存在の根底を成す場所として、あるいはその存在の最後の砦、絶対の孤独のようなものとして表現し続けています。
東京においては初個展となる今回は、その概念を発展させた「世界の果て」という主題を持った作品を発表いたします。多田にとっての世界の果てとは、日常の混沌や時空から切り離された普遍的な場所と同時に極めて個人的な場所であり、想像を超えた美しさや醜さ、光や闇、永遠や瞬間が同居するような、静寂に包まれた場所だと解釈されます。そして多田の作品に垣間見えるのは、そういうふうに想像することから構築された物語の具現化というよりも、まだ見ぬ地点に対する畏敬や憧憬、恐れや不安といった感情を、直感的に彩ってゆく世界です。
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