アントニー・ゴームリーは1950年にロンドンに生まれ、ケンブリッジのトリニティー・カレッジにて考古学、文化人類学、美術史を専攻した後、3年間インドを放浪。帰国後、セントラル美術学校、ゴールドスミス・カレッジ、スレイド美術学校にて学びました。国際的に高く評価され、現代イギリスを代表する彫刻家ゴームリーは、25年に渡り、記憶と変換の場所として人体を徹底的に研究し、自分の身体を用いて型をとり、人体を再現する手法での彫刻表現を行ってきました。1990年以降は、人間の状態に対する関心が、集団そして自己と他者との関係性の探究へと拡張され、質量ともに劇的なスケールと構成をもつ大規模なインスタレーションを手がけるようになりました。
1994年、イギリスで最も権威ある現代美術賞であるターナー賞を受賞。今回出品される2004年制作の最新作3点は、4種のサイズのスチールブロックを組み合わせて人体を構成するものです。それは、人体という「個」の様相を呈しながら、単純な形の無限とも思える数の組み合わせによって普遍的な思索を導き出します。ゴームリーは、「彫刻とは、精神が物質に宿ることを可能にし、物質と空間と時間の結びつきを、科学が証明したものをさらに補足する(とはいえ科学とは全く異なった方法で補足する)方法」だと言いました。本展は、ギャラリーという特殊な空間での関係性において現れる「Certain Made Places:いくつかの作られた場所/確かめられた場所」との邂逅を通して、ゴームリーの表現世界を知るまたとない機会となることでしょう。
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